■日時:2016年9月6日(水)14:00
■会場:電気ビルみらいホール
■出演:井上芳雄
アウシュビッツから奇跡の生還を果たした心理学者フランクルの『夜と霧』の朗読劇。
原作読んだことないし、お話重たそうだし、と思いつつお席につくと、
場内はステージにスポットライトがつくだけの真っ暗。
寝てくださいといわんばかりの状況にどうなることかと思いましたが
これが素晴らしかった。
真っ暗な中、客席後方から登場し、虚ろな表情でステージまでヨロヨロと歩を進める王子。
センターにおかれた演台で、講演のように始まります。
フランクルは、アウシュビッツの悲惨さを伝えているのではなく、
残酷な拷問を見続けた場合に人はどうなるのか、
過酷で希望の見えない時、人は何を心の糧に生きるのか、
そこで、どういう意識の人間が生き残るのか、
といった、人間とは何か、生きるとは何か
という普遍のテーマだったのです。
こんな哲学的思考をすることになるとは思ってなかったので、
頭をガツンとやられたようで、
それでいて、そんな辛くて難しいテーマが
心にストンと落ちるのです。
これは王子の表現力としか言いようがありません。
最後に繰り返されたのが「人生は然り」という言葉で、
これはきっとキリスト今日関連のお言葉でしょうか?
真の理解ができなかったのが残念ですが、
淡々と読み続ける1時間50分を、
観客の心を惹きつけて離さず、伝えきりました。
伝道師のようです。
全くもって予想外の展開でした。
ますます王子の力に恐れ入る。
小さな会場ですので、出口にて王子との握手というプレゼントもついていて、
あんな作品の後、王子はすっきりと涼やかな表情で迎えてくれました。
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