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講演会「芥川賞を語る」


■日時:2025年4月25日18:30
■会場:西南学院大学チャペル
■登壇:平野啓一郎氏、鈴木結生氏

『ゲーテはすべてを言った』で芥川賞を受賞した
西南学院大学大学院生である鈴木氏の祝賀講演会。
本読まないけど講演会好き。
応募2200人の中から当選いただき行ってまいりました。

23歳で芥川受賞、福岡にゆかりがある(鈴木氏はsasaと高校同じ)
という共通項のある二人。
無茶苦茶面白かった。
平野さん、思った以上によく喋る。
そしてその言葉選びは秀逸でたまらんっ!

鈴木さんの祝賀会として、誰に来てほしいか聞いたところ
平野さんを挙げたそうです。

鈴木さんという作家の登場をどう感じているか?
の質問に対して、自分の作品『葬送』を挙げながら
「ドラクロワは絵が完成した時に招待状を若者に送っていて
あの年齢になれば若者に評価されたいと思うのでは?
と思っていたが、実際自分がそういう年齢になると
やはり思っていた通りで、
なので、今日は鈴木さんという若者に呼んでもらって嬉しい」
というなんとも美しい導入。

鈴木さんの作品については
「アカデミックで閉ざされたようでありながら、
フェイクニュースといった今の問題も取り入れている。」
「現実の世界で満たされない苦悩の人が
自分の実在の危機から脱するために書くのが小説家
という場合が多いのに、
鈴木さんの作品は明朗」

審査員としては
「芥川賞のレベルは上がってきていて海外からも注目されている。
日本の文壇が新しいと感じ、読んで欲しい、世界に出したい
と思う作品を選ぶ」

鈴木さんから「平野作品はオーディブルが多いですね」
平野「声優さんは抜群に読み方がうまい。
自分でもあんなには読めない。
印税が増えてるので確実に需要が増えているのはわかる」

平野さんの文体は森鴎外の影響を受けている。
言語にならないものを形式的安定感におさめたい。
三島由紀夫も自分のナイーブな部分を森の文体で克服しようとした

「小説家というのは自分の才能との恋愛関係のようなもので
鈴木さんのような受賞直後はハネムーン
→苦悩の時期
→のりこえる
→銀婚式

鈴木さんは平野さんに倣って最初は3部作でスタートした。
トルストイ→ゲーテ→ディケンズ。
長編が書きたいが、地力をつけるために短編書こうかな
平野「短編は実験ができるけど、しっかり長編を書いた方がよい」

と言いつつ最後に鈴木さん
「6月に新刊出ま~す」
これは短編集のようだな。

もれたろうくん


sasaの子育て期とはタイミングがずれてたので
全く存じ上げなかった絵本作家ヨシタケシンスケさん。

代表作『リンゴかもしれない』を初めて読んだ時は
え?ってなった。
リンゴだと思っていたのに、実はりんごじゃないかも?
そんなこと考えたこともないから、
頭をぶん殴られたような、
自分ってなんて通り一遍のことしか考えられない
頭の固い人間なんだろうって。
もっと広い視野でいろんな角度から
ものを見たり考えたりできる人間にならなきゃねって。

福岡展の最終日に買ったピンバッヂ。
グッズはどれもこれも可愛いくて
アイツくんのぬいぐるみと迷ったけど
おしっこちょっぴりもれたろうくんにしました。

たっぷりじゃなくてちょっぴりだから
パンツの中をそおっと覗いている姿が愛らしい。

王子の本問題

王子の本が問題になってます。
ちょうどお友達が「届きました~」と
嬉しそうにメッセージをくださったその直後。

問題なのはミュージカルのあらすじの部分だそうで
ネットニュースによると
ジャンバルジャンが銃殺されるとか
レントのコリンズとエンジェルが破局するとか。

有名作品だから、軽いミューファンでもわかる。

全くミュージカルに興味のないライターに依頼したことが問題だし、
原稿を書くときは、確実な情報源、公式文書や原書から書くものだし、
もしネットから探す場合は、複数の方向から調べて
その共通項、これは間違いない!という内容を書くのは
制作の基本。
プロのライターがこれをしないことが不思議。

また、出版社には誤字脱字チェックの校正者だけでなく、
事実との相違や、内容の矛盾をチェックする校閲者もいるはずなのに、
どうしてこういうことになるのか?

それと、王子が書いた箇所ではないと言うものの、
著者が王子になっているのだから、
何故、王子もしくは関係者がチェックしなかったのだろう?
誰もひととおり読んでないのか?
一か所ではなく多数あるのだから、
ちょっとだけでも読んでいれば、
あれあれ?ってなって、他にも間違いあるのでは?となって
全体を読み始めてこの問題には気づいたはず。

なんだかなあという残念感は否めない。

もちろん、王子はこんなことは凌駕するほどの実力だし、
きっとしばらくしたら、これも笑いのネタに変えて
ファンを楽しませてくれるだろう。

笑ったのはね、
エリザベートがオーストラリア出身になってるらしい。
おてんばだけど気品溢れた美しいドレスのエリザベートが
広大な自然のオーストラリアから元気いっぱいやってきた
と想像するのは面白い。

100分de名著「ペストbyカミュ」

この時期に再放送のカミュの「ペスト」。

「ペスト」という不条理の中で人はどう生きて行くのか。
1947年の作品だそうです。
カミュとしては、ナチスドイツによる不条理を書きたい、
でも、終結したばかりで直接的表現はできない、
という中でのペストという暗喩。
が、暗喩であっても、その時代の人々には
痛いほど伝わったそうです。

伝染病、都市封鎖、政府の対応…
それは、まさしく今、私たちが直面していることで、
これは預言書か?

年末の「カリギュラ」といい、
難解なカミュを、カミュ専門の先生と
さらにかみ砕いて進行してくれる伊集院光さんのおかげで
とてもわかりやすい。

聞いててう~むとなりましたよ。

「絶望に慣れることは絶望そのものより悪いのだ」

王子のお芝居「1984」の時に感じた
拷問され続けて、何が正解かわからなくなる異常な感覚。
人間が究極の状態におかれた時に
人間だけがもっているはずの判断力とか理性がなくなる
もはや人間ではなくなっている
という恐怖ですね。

この作品には歴史と宗教という大事なテーマもあって
それを理解しないと本当の理解には程遠いと思いつつ。

でも、こうした「不条理=ペスト」に勝つ方法は
「誠実さ」だとカミュは書きます。
登場人物たちは連帯し、自分のできることをして
不条理に立ち向かう。
暗い話ではあるけれど、
sasaが一番印象に残ったのは
不条理を救うのは人間、
「人間って素晴らしい」ということです。

そして、今私たちがやるのは
コツコツと自分にできること。
医療のプロでも、スーパーで食品を提供することも
できない人であれば、
粛々と外出を控え、人との接触を避ける
ということです。

福岡のカレー本

実はそんなにカレー好きってわけでもないのに
なんとなくカレー食べ歩き風になっている。

家で作るドロッとしたルウじゃなくて
サラサラッとしたスパイスの効いたルウを
真ん中にこんもり盛ったご飯の周りに流してるタイプ。

今は結構この世界奥深いみたいで。

美味しいものの多い福岡なら結構ありそうだと思ったら
本が出てまして、ちょっと前から知ってたのですが、
中古本コーナーでみつけて買っちゃいました。

ふふふ♪楽しみ。