■日時:2024年12月14日(土) 14:30
■会場:久留米シティプラザ グランドホール E24
■久留米オリジナルプログラム
【J.S.バッハ】パルティータ第1番 変ロ長調 BWV 825
【ショパン】ポロネーズ第6番 変ホ長調 「英雄」 Op.53
【ショパン】ポロネーズ第7番 変イ長調 「幻想」 Op.61
【シューベルト(リスト編曲)】アヴェ・マリア
【リスト】ラ・カンパネラ
【リスト】ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
ちょっと前から気になっていたピアニストさんで、
「題名のない音楽会」でやっぱりいいなあと思って
お席を取りました。
そして、午後からの演奏の前に、
午前中、務川さんご自身によるレクチャーがありまして
申し込んでいました。
■11:00
事前レクチャー「務川さんに聞いてみよう!」
務川さん、こういうレクチャー初めてだそうで、緊張気味。
今回は前日入りしてリハーサルは済ませていたそうで、
リハーサルでどんな点を確認・調整するかと
今日の演奏や曲の説明でした。
以下お話を抜粋していきますね。
今回の会場であるグランドホールは1500席とかなり広いが
音を響かせるよい会場とのこと。
いつも同じに弾いているように思うかもしれないが、
会場、ピアノによって、弾いてみながら
ペダル、テンポ、アーティキュレーション、
右と左のバランスを調整します。
バッハはチェンバロでどう弾くかをイメージしていて
本来はペダル無しが基本。
それぞれの音をクリアに届けたい。
ペダルを踏むと音に丸みとにごりが生じる。
弾いて音が飛んでいって帰ってくるのを探りながら
すべての音が会場に響くように調整する。
アンドラーシュ・シフがバッハではペダルに右足すらかけない
というのに憧れている。
響きのない家で練習するのと
響くホールでの本番では違うが、
本番で柔軟に対応できるように家でしっかり練習している。
ここで質問コーナー
Q.緊張しますか?
A.無茶苦茶緊張します。人生で一番緊張したのはコンクールの時。
でも、緊張はなくならないというのは悟った。
Q.尊敬しているピアニストは?
A.アルフレート・ブレンデル。
明確なメッセージを伝えるためには汚い音も使う
Q.難しい曲は?
たくさんあるけどラフマニノフ3番協奏曲、
ショパンエチュード10-2、25-6
Q.楽譜は紙派?iPad派?
A.絶対紙!
画面がつるつるしているのが苦手、紙のザラザラが好き。
楽譜は50年後も同じものを使っていたいから。
Q.自分はピアノでいけると思ったのはいつ?
中3で日本学生音楽コンクールで1位になった時。
母がピアノの先生だった。
この後、演奏する曲についての解説が少し。
※理解できてないので正確か自信がありませんが…
◆【ショパン】 ポロネーズ第7番 変イ長調 「幻想」 Op.61
pとppの違いは家ではやりやすいが
ホールでは難しい。
でもこの違いをはっきりさせたい。
ほんとに小さく弾くと輪郭がボヤけるが、
遠くまでソプラノを飛ばす意識でやっている。
感動的なのはポロネーズの切れ端を残しながら
コラールに進み、
疲れ切って力尽きたと思ったら
難しい和音になり、
ffの鐘を鳴らして終わること。
作曲当時、ショパンは困難な時期で弱っているのに
強いメッセージを出しているのが素晴らしい楽曲である。
◆【リスト】ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
ソの単音で始まり、3つの主題を軸に発展していく徹底した構成力。
30分の中にソナタ形式のすべてを取り込もうとしている。
最後に2つめの主題がffで再登場の後、
静寂が訪れ、
3つ目の悪魔の主題が現れ、
最後はシの単音で終わる。
平穏が訪れたのか、
人生とは穏やかなものではないという不気味さか
受け取り方は聴き手に任せる。
天国と地獄を表現した完璧な作品。
本番のコンサートでは、
この解説を思い返しながら聴くと30分があっという間でした。
客席には遠征組の務川ファンもたくさんいらっしゃるようでしたが
クラシックに詳しくなくても聴いたことのある曲の多いプログラムなのと、
レクチャーのお話がとても面白かったのでとても楽しめました。
務川さんは不愛想なのかと思ってたら
曲の最初と最後の挨拶の時が
満面の笑顔だったし
伝えるのが難しい表現の世界のお話を
できるだけわかりやすくしてくれてるのがわかりました。
Comments