Monthly Archives: 6月 2025

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名取事務所公演『燃える花嫁』


■日時:6月29日 (日) 13:00〜15:10
■会場:北九州市劇場 小劇場 自由席
■作:ピンク地底人3号
■演出:生田みゆき
■出演:みのすけ(ナイロン100℃)、松本紀保、清水明彦(文学座)、
鬼頭典子(文学座)、平体まひろ(文学座)、森尾舞(名取事務所)、
西山聖了(名取事務所)、山下瑛司(文学座)

パラドックス定数、サロメカンパニーときて、
社会的テーマの劇団が気になる。
名取事務所も気になってたら北九州で公演があった。

多文化共生、移民受け入れ。
少子化の進む日本、
今後は外国人の力を借りなければやっていけない。
在日外国人は特定の地区にまとめられ
日本人のやりたがらない解体業を請け負う。
川口市のクルド人地区がモデルのようです。

移民への抵抗感/移民に助けられてる

不遇な状況でも
自国に戻れば命さえ保証されない現実。

真夏日に不満言ったり
社会に文句言ったり
そのレベルでないことが世界では起きている。
暑い暑い言うけど、少なくとも室内ではエアコンきかせて涼んでる。

そんなぬるま湯に気付いてゲリラに傾倒する若気の至り。
引き込もうとはしてないようで結果引き込むゲリラ。
そうやって仲間に引き込む策略はうまい。

人口は減り、円は安く、
働き方改革で仕事時間は減り
日本がこれから先進国であり続けるかギモン。

暗いテーマだけど、みのすけさんの高い声に救われ、
ゲリラ女性の森尾さんかっこよかった。
読売演劇大賞の優秀女優賞取られた方なんですね。

薄っぺらい感想ですが、面白い劇団はまだまだある見込み。

三谷喜劇「昭和から騒ぎ」

■日時:2025年6月27日(金)18:00 1時間45分
■原作:ウィリアム・シェイクスピア
■演出:三谷幸喜
■出演:大泉洋 · 宮沢りえ · 竜星涼 · 松本穂香 · 峯村リエ ·
松島庄汰 · 高橋克実 · 山崎一

シェイクスピアの喜劇を三谷幸喜が昭和の日本に置き換えて演出。
なにせこのキャストですのでチケット難関でした。

コメディとはいっても、ケラのようなアート挿入ではなく
シンプルなドタバタ喜劇な印象。
でも、先日のシェイクスピア研究者によると
原作をきっちり踏襲していたらしい。
前半吉本新喜劇を見に来たのか?という気分でしたが
後半はぐいぐい展開が進み、話に引き込まれていきました。

大泉さんは登場するだけで楽しそうな空気を出すし、
会場は終始大爆笑。
宮沢りえちゃんはあの美貌がもったいないくらいの
コメディエンヌぶりでした。
峯村さんのとぼけた存在感は相変わらず絶妙。

個人的にはそこまでお気に入りではなかったので
普通の面白さでした。

映画『国宝』

評判よいから見ておかなくちゃね。
吉沢亮くん、お顔が好きで大河の渋沢栄一チャレンジしたんだけど挫折。
ずっと前に井上芳雄くんが誰と共演したいか?みたいな質問に
「吉沢亮くん。実は歌もダンスもいける」
と言ってました。
一時期事件になっても続々出演してるのは実力を証明してるよね。

で、今回は横浜流星くんとのダブルという旬のキャスト。

任侠の家に生まれた喜久雄(吉沢)と、歌舞伎界名門の御曹司・俊介(横浜)。
厳しい師匠・父(渡辺健)の指導を共に受けながら切磋琢磨。
才能ある子が入ってきて嫌悪や焦りもあったろう
本家の将来を約束されたボンボンに妬みや嫉妬もあったろう
そんな二人だけど、目指すものが同じなのと
試練を共にする仲間だから
仲が良く結束が固く、見ていて嬉しかった。

芸の力か
血の力か

挨拶にいった大御所の女形・万菊(田中泯)に
最後に勝つのは血の力だと予言される。

が、師匠は我が子よりも喜久雄の芸の力を取った。
舞台でその実力を目の当たりにして、姿を消す俊介。

から
襲名披露で倒れた師匠の最期の言葉は「俊ぼう」

あまりの衝撃で動けない喜久雄。
師匠の本心を知り敢えて反感をかって歌舞伎界から身を引く。

から
死の間際に万菊から呼び戻され、復活する喜久雄。

芸と血、両方の時代は長く続かない。
病に倒れる俊介。

最後に残ったのは芸。

そこに日陰の道を歩んできた娘が現れる。
芸のため、身を潜めて生きてきた母娘。
決して父とは認めないと厳しい言葉を浴びせるが
それでも結局、芸には圧倒される。

どんなに人を傷つけたとしても
それを上回る力が芸にはある。

好きだったのは
*血の力をもたない喜久雄が舞台に立つのが怖くて化粧出来ない時に
俊介が紅をひいてやるところ
*屋上でボロボロの喜久雄がジョーカーのように踊るところ
片足になった俊介が舞台で倒れた時に、これが最後の舞台になると感じた二人が
*周りに止められても最後まで舞台に立ち続けたところ
*一緒に舞台の上を見上げて二人で同じ景色をみたところ

sasaは見ていて、卒論で書いた
オスカーワイルド『ドリアン・グレイの肖像』が浮かびました。
芸術至上主義。
最後は人を越えて芸術が残った。

芸は全てを凌駕する、そんなテーマだったのかな。

第五回ともてらす寄席「柳亭小痴楽独演会」


■2025年6月22日(日)14:00 2時間ちょっと
以前一度チケット取ったことあるのですが
コロナかなにかで中止でした。
なのでリベンジ。

福岡市の中でも山の方の区民センターでの開催。
主催が頑張ってくれてありがたい。
チケットは結構いつまでも発売中でしたが当日は満員でした。

若手新進の落語家さんです。
sasaは知らなかったのですが、
お父様も噺家さんで有名らしい。
2世かどうかは関係なく面白かった。

前座にお弟子さんが出ましたが、
やっぱし全然違いますね。
ミュージカルでも思いますが、
歌が完璧でプレがないとこちらが安心してお話から感動の域へ入れる。

落語も噺家さんの才能の技量をもとにしたドーンとした器が用意されてると
安心してゲラゲラ笑えます。

マクラから抜群で、笑いっぱなしの中本題へ。

泥棒の噺2つと
正直者の噺。

どでもいいお話で、日本の話芸いいなあと思う。
今後の要チェックです。

彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd vol.2「マクベス」

■日時:2025年6月21日(土)17:30
1幕95分/休憩20分/2幕75分(計3時間10分)
■会場:福岡市民ホール 大ホール 13列センター
■出演:
藤原竜也:マクベス(スコットランドの将軍)
土屋太鳳:マクベス夫人
河内大和:バンクォー(スコットランドの将軍)
廣瀬友祐:マクダフ(スコットランドの貴族)
井上祐貴:マルカム(ダンカンの王子)
たかお鷹:ダンカン(スコットランド王)
吉田鋼太郎:魔女
稲荷卓央、海津義孝、天宮 良、坪内 守、塚本幸男、鈴木彰紀、内田健司
齋藤慎平、堀 源起、近藤陽子、蔵原 健、松本こうせい、谷畑 聡、伊藤大貴
松尾竜兵、河村岳司、坂田周子、佐藤雄大、小川向日葵、嶋瀬 晴、稲田 有梨

どうしようかなあと思ってたのですが、
当日チケットにご縁がありまして行ってきました。

藤原くんの熱い台詞、あんまり得意じゃないんです。
確かマクベス夫人が悪女だったイメージくらいで
「マクベス」読んでないのであらすじだけさっと予習。

冒頭の稲妻に魔女3人が現れるシーン。
魔女というか亡霊というか
ちょっとなまはげのような
怖いけどコミカルな3人。
なんだなんだ?

このシーンも含め、稲妻やら光やら会場下りやら客いじりやら
鋼太郎さんの「飽きさせない工夫」と言う通り
ストプレなのに一瞬たりとも睡魔は来なかった

特に、夫人の訃報のシーンで背景巻が一気に落ち、
それが岩場のように舞台を囲んで鎮座する姿はとても美しい。
かなり重たい幕があんな形状になるなんて、
どう計算してるんだろう?

マクベスがもともとその気はあったものの
夫人主導で野心や殺意をふくらませていくのはわかるんだけど
夫人はどうして最初からあんなに悪人なの?
(※シェイクスピア研究者の友人によると
マクベスからの手紙「手柄をたたて重用されたよ」
を読んでからふくらんでいったとのこと)

マクベスが祝宴中にバンクォーの亡霊に正気を失い、
最初はなだめていたものの最後は呆然となるマクベス夫人。
ここ結構時間をとってあって、
夫人の心が崩れ落ちた伏線があっての
次の場での狂人の流れがわかりやすい。

そして、狂気のまま手を洗い自分の罪を話してしまう。

土屋太鳳ちゃんは、残念ながらあんまり女性うけよくないよね。
でも日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』見てから、
上手だなあと思ってました。
そして、今回、シェイクスピアのあの面倒な長台詞も
滑舌もよくきれいに伝わる。
身体能力が高いから、お辞儀とかひざまづく姿もきれい。

そして、ミュージカルではお馴染みの廣瀬くん
マクベスと対峙する役で、
あらあ、声がこんなに重低音だった?
精悍なお顔立ちに貴族の衣装もお似合いで
立派でした。
もう歌ったり踊ったりしなくてよくない?

前半は長台詞が多かったものの
後半は展開も早く、鋼太郎さんの工夫もあり
ぐいぐい引き寄せられました。

友人によると原作にはないマイムマイムダンスとか
もともと短い作品を長く伸ばしてるものの
間延び感もなかった。

ラストにステージセンターにアレが残されるのが
不気味だった。
そこにオープニングと同じく稲妻の音と光が突き刺さる。

今回はたまたまシェイクスピア研究者の同級生と
同じ公演の観劇で、
終演後、短時間でしたが解説してもらいいました。