■2019年9月7日(土)13:00
■会場:北九州芸術劇場 D列20番
■作:ルーカス・ナス
■演出:栗山民也
■出演:永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代
そんなに乗り気じゃなかったのですが、
良席を目にしてしまったものでポチッ。
そもそもイプセンの原作さえ読んだことないのに。
「人形の家」で家を出て行ったノラが
15年ぶりに帰ってきたというお話。
名作の後編ってご本人の断りもなく勝手に作っていいものなのね。
でも後編というよりも、
原作にインスパイアされて作った新しいお話。
伝えたいことをそこに乗せたという感じでした。
原作に詳しくないsasaには新しいお話として
そこからのメッセージを受け取りました。
ノラが帰ってきたのには理由があったのですが、
それは大きな問題ではなく、
ノラが出て行った理由、
離婚届を出さなかった夫トルヴァルの反撃、
見ていた乳母アンヌ・マリーの所見
娘エミ―の言い分、
それぞれねえ、もっともなのよ。
ノラだけの視点にしてると、
ひどい夫、ノラ可哀そう、女の自立バンザーイ!
だけど、片方だけの言い分というのは
sasa気をつけるようにしてて、
今回のはまさしくそう。
個人的に、一方的に自分の主張をまくしたてる人無理。
それぞれに事情や言い分はあるのだ。
出演は4人だけで、
永作ノラが、夫トルヴォル、
乳母アンヌマリー、娘エミ―と対峙。
永作さんは105分間でづっぱり。
台詞も膨大な量です。
栗山さんあんまり好きじゃないんですが、
この作品とてもわかりやすかった。
小難しくなくて、ひねくりまわされもせず、
台詞がシンプル。
ものすごい量しゃべるけどちゃんとわかる。
4人がしゃべることは本音を言ってるようで、
その裏には本人も気づかない裏の気持ちもあり、
それを他人に明らかにされるのは腹立たしく認めたくもない。
でも、そのどちらも真実で、それが普通。
特に一人だけが悪人とか善人とかもない。
ノラもトルヴォルも相手のことをけなしつつ
この15年間にそれ以上の相手に巡り合えたかというと
そんなことはない。
さんざん言い合った後
冷静に考えてみれば、案外悪くない相手だったかもしれない。
結局楽だよねえと言って手を取りつつ
それでも、一緒にはいられない。
人が理解しあったり
一緒にいるのは簡単なことではない。
ここでめげることなく、
イチから出直すと言って、
ノラはまた家を出て行く。
それでも人は生きて行く
ってところかな。
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