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KERA meets CHEKHOV Vol.4/4 「桜の園」


■日時:2025年1月21日(火)
1幕84分 休憩15分 2幕76分
■会場:キャナルシティ劇場 1階D列
■作:アントン・チェーホフ
■上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■キャスト
天海祐希 井上芳雄 大原櫻子 緒川たまき 峯村リエ 池谷のぶえ
荒川良々 鈴木浩介 山中崇 藤田秀世 山崎一 浅野和之 ほか

コロナで一度も上演できなかった幻の作品のリベンジ。
メインキャストもかなり入れ替わってますが
王子は引き続き出演。

ラネーフスカヤ夫人が大竹しのぶさんから
天海祐希さんになったのが一番大きいですね。

登場した時には一瞬空気が止まって
拍手が起きました。
それくらい天海さんは女王様の圧がある。

けど、sasa個人的にはシェーンホームズ演出の
原田美枝子さんが好きだった。
美しさはもちろん人生の重みと時代遅れの愚かさ
が人間の憐みを感じさせたんだよなあ。

事前に画像は見ていたものの
王子の薄毛キャラはやはり受け入れられない。
知的で先進的のようでいて
万年学生から脱却できず中身が伴ってない
というのがsasaのトロフィーモフのイメージなのですが、
少なくとも見た目はごく普通の学生の方がよいのでは?
ケラは喜劇に仕立ててますが、
薄毛というビジュアルで面白くする必要はないし
実際面白いわけでもない。

ケラがそんな浅い発想をするとは思えないので、
検討違いなこと言ってのだろう。

に対して、荒川さんのロバーヒンの素晴らしさ。
シェーン演出の八嶋智人さんはやけに知的で農民からの成り上がりには見えなくて
その点、荒川さんはいい人そうな風貌で最初は屋敷を売らずにすむように尽力するけど
諦めてからは厭らしさも垣間見えて魅力的だった。
助演賞は荒川さんだな。

そして重要なのは執事フィールス。
本編では認知症を強調されてるけど、ラストの
みんなに病院に行ったと思われてるけど実は屋敷に残っていた
のところ
みんなが出て行く前に倉庫の戸締りされてて
フィールスはあの中に閉じ込められたのか?と見てたら
横の部屋からひょこひょこ出てきて
「みんな行ってしまったか」「坊ちゃんはまた外套も着ないで…」
と言うのが本人納得の様子で
んん?
認知症じゃないじゃん?
これまで認知症のふりしてたのか?
となったのです。

屋敷に残されたのではなく
自らの意思で屋敷と破滅を共にする主体的な選択
と感じました。

ついついシェーン演出と比べてしまうけど、
内容的にはシェーンの方が好きでした。
チェーホフの原作に忠実なのはケラ演出ですが
シェーンがチェルノブイリを重ねた捻りが憎らしかった。

トモフスキー KITAKYUSHU LIVE

■日時:2025年1月18日(土)18:00
■会場:東八幡キリスト教会(福岡県北九州市)
待ちに待ちましたよ。
トモフが九州へ!
主宰してくださったカフェうみねこ様に感謝感謝☆

それもこんな素敵な会場。
トモフにぴったりの雰囲気ある教会。
会場がどこでもいいってわけじゃないのね。

お客さんの年齢が少し高め。
カステラからのファンもきっといたのでしょう。
遠征はしないけど、待ってる人はこんなにいたのだよ。

前方席の方たちは振りばっちりの慣れたご様子。
関西でお見かけする方もチラホラ。
ようこそ福岡へ。

トモフは優しいから
みんなの好きな曲をきっちりやってくれます。
いつも泣いてしまう「作戦会議」から始まり
名曲「我に返るスキマを埋めろ」でいったん締め
「え?まだ2時間?」と慌てて戻ってきてアンコール。
「映画の中」もあって嬉しかった。

福岡といっても八幡というなかなかビミョーな位置ですが
ここが気に入ってくれたなら大歓迎。
客席もほとんど埋まってたから九州での人気もわかってくれたと思おうし
また来てね。

*セトリ(出展:トモフのX)
作戦会議/ひとりに戻るんだ/骨/教会の59歳/3度目のハタチ(新曲)/ハナシカケル/コインランドリーデート/立派な浮遊霊/サイゴはロースイで/たりる/月にきいた/夜中一度、風がとまる/自分らしさなんて/スポンジマン/日本酒風割り/ほめてよ/WE GO/無計画という名の壮大な計画/最高の錯覚/我に返るスキマを埋めろ
アンコール:世界は終ってなかった/SKIP/こころ動け/映画の中/脳

アフタートーク『天保十二年のシェイクスピア』

■日時:2025年1月11日(土)夜公演終了後
■登壇者:浦井健治 大貫勇輔
■MC:藤田俊太郎(演出)
トークショー目当てでこの公演にしましたからね。

おしゃべりの内容をメモしたままに。

●浦井:博多座はこの作品にぴったりの劇場。
提灯もぴったり。
バンマスも変わってアレンジすごい入ってて面白い。

●浦井くんから大貫くんの印象:
タクシーに乗ると必ずskyのCMに出てる

●大貫くんから大貫くんの印象:
前回の浦井三世次の映像はあえてチェックしなかった。
浦井くんは稽古場に2時間前くらいからいる。

●藤田さんへ質問:司会が上手なのはなぜ?
藤田:20回くらいやってますからね。

●浦井くんより:
1974年の初演から50年経つけど人間って変わらない。
祝祭劇として見てもらえば。

舞台『天保十二年のシェイクスピア』


■日時:2025年1月11日(土)17:00
1幕100分 休憩25分 2幕95分
■会場:博多座3階 C列
■作:井上ひさし
■音楽:宮川彬良
■演出:藤田俊太郎
■出演:
浦井健治:佐渡の三世次
大貫勇輔:きじるしの王次
唯月ふうか:お光/おさち
土井ケイト:お里
阿部 裕:よだれ牛の紋太/蝮の九郎治/飯岡の助五郎
玉置孝匡:小見川の花平/笹川の繁蔵
瀬奈じゅん:お文
中村梅雀:鰤の十兵衛
章平:尾瀬の幕兵衛
猪野広樹:佐吉
綾 凰華:お冬
福田えり:浮舟太夫
梅沢昌代:清滝の老婆/飯炊きのおこま婆
木場勝己:隊長
妹尾正文、新川將人、出口雅敏、武者真由、森 加織
山野靖博、天瀬はつひ、斎藤准一郎、下 あすみ
鈴木凌平、中嶋紗希、藤咲みどり、古川隼大
水島 渓、水野貴以

前回の高橋一生くんを越えることはないだろうから
あんまり乗り気ではなかったのです。
終演後のトークショー狙いで。

が、浦井くん素晴らしかった!
醜い顔と曲がった背中、卑屈で厭らしく、
でも色っぽい三世次。
う~ん、大変失礼いたしました。
お見事です。

「シェイクスピアがいなかったら…」という設定で
最初は3人娘のリア王から始まって
シェイクスピア37作品をすべて登場させる。
ほぼ片鱗ってのもあるけどね。

で、前回浦井くんのやった王次を
今回は大貫くん。
大貫くんになったのでダンスシーンが増えました。
センターでスラッと立ち姿もバシッとダンスも決まってるんだよなあ。
殺陣ももちろんかっこいい。

浦井三世次は次々と人殺しを続けて狂気、
の中になんだか悲しさもありまして。
歌はミュージカル俳優の実力があるし
名優だなあ。

ミュージカル『next to normal』


■日時:2025年1月5日(日)12:00、7日(火)12:00
■会場:博多座 1階、3階B列センター
■音楽:トム・キット
■脚本・歌詞:ブライアン・ヨーキー
■訳詞:小林 香
■演出:上田一豪
■出演
ダイアナ:望海風斗
ゲイブ:甲斐翔真:
ダン:渡辺大輔
ナタリー:小向なる
ヘンリー:吉高志音
ドクター・マッデン:中河内雅貴

ご縁がありまして2回観劇。
ミュージカルだけど内容的につらそうなお話で
それほど期待したわけではなく
1回目はまあまあだなあと思っていてたのですが
2回目でいやいや結構良かった。

息子の死、母は双極性障害で精神科治療、
愛されない娘、妻を支えようともがく夫
などキツイ作品ですが、
テーマがわかりやすい。

normalじゃない人間ばかりだけど
いや、そもそもnormalっていったい何?
だいたいnormalであればいいじゃん!

ロックミュージカルで
階段下りでゲイブが歌うシーンは
RENTのミミのようです。
ここ、かなりのロック調なので
ガナる声で歌詞が聞き取れなかったのが残念。

それにしても、甲斐くんめきめき主演クラスに上ってきてますね。
それも納得。
身体は大谷翔平か?と思うようなムキムキに
ずっとぴちぴちTシャツなので体幹ガッチリ。
繊細な歌もイケてて、特に高音がとてもいい。
歌が上手な人はたくさんいるだろうから
あの高音ビブラートヴォイスが強力な武器なのでは?

望海さんはとても強かった。
特に1幕はちょっと強すぎるほど。
もちろんお芝居も伝わるし
悲しみのシーンは泣かせる。

若い二人の歌は優しく紡ぎあう「Hey♪」がとてもいい。
相手に少しずつ寄り添っていく感じがゾクゾクします。
ナタリーは自分も母親みたいな双極性障害を発症することを恐れていて
それが心配でなかなかヘンリーに近づけないのを
優しく包み込むヘンリー。
ヘンリー自身も薬をやっていて決してnormalなわけではなく
それでも互いに支えあおうとする姿が健気。

小向なるちゃん、吉高志音くん、すぐ次の作品も決まってて成長株ですね。

父ダンはダイアナを愛してるのは確かだけど
精神科医との面談も立ち会わないのが不思議だった。
電気療法もすすめるし、途中ダイアナが怒るように
理解はできてない。

でもラストのゲイブとの対峙シーンで
最終的にはゲイブに囚われていたのは
ダイアナよりもダンのほうだったのだ。
ダイアナと一緒に悲しみに沈むわけにはいかず
現実を見ることができず、ゲイブの死から目を背けてきた。
ダイアナがつらい以上に自分の方がつらかった。
そんな父を優しく包むゲイブ。
やっとゲイブの名前を口にできて、
ゲイブの死とともに壊れそうな自分を受け入れ、
最後は次に向かうために精神科を紹介してもらう。

旅立つダイアナ、
残って支えあうダンとナタリー
そこにはヘンリーもいて。

甲斐くんは同じ形のTシャツの色が次々と変わります。
6人の衣装の色には意味があって
青:normal
赤:crazy
黒:闇
紫(赤+青):next to normal

ラストでダイアナが紫だったのは
ある意味ハッピーエンドだったんじゃないかな。

2回観てよかった。