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実朝様@NHK『鎌倉殿の13人』

なんとなく見始めたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。
ものすごく面白い。
事実かどうかは三谷さんが面白く脚色してるんだろうけど
毎週楽しみにしている。

そして、最初は、こんな印象の薄い源実朝に、
ミュージカル界の人気者カッキーを使わなくても…
と思っていたのだけど
・・・・・
今や、ぴったり。

「鎌倉殿」なんて言われながら、実権は北条のもので
何事も自分の希望は通してもらえない。
女性を愛せないから世継ぎができない。
約束も次々と破られる。
争いごとは嫌いで、歌を詠むのが好きな風流人。

とにかく無力なわけですが、
その困り顔が抜群によろしい。
半ベソかかせたら日本一ではないだろうか。
そこにご本人の持つ愛らしさがあるからたまらない。

それでいて、先日のミュージカルTVでは
颯爽とメリポピバートとジキハイで現れたよね。

あんなに素朴で善人だったはずの北条義時が
みるみる悪人になってきた今、
実朝さまが救いです。

王子@NHK「ミュージカルTV」

豪華キャストでしたねえ。
王子はもちろん、海宝くん、カッキー、濱田めぐみさん。

「トゥナイト」はこれまで王子はいろんな方とデュエットしてきましたね。

曲は全曲といっていいほど王子バージョンで知っていました。

「サウンド・オブ・ミュージック」
王子は振りも喜びに溢れててミュージカルの素晴らしさを全身で表現。

うってかわってファントムでは、妖艶にクリスティーヌを誘う。
ちょっとトート閣下入ってるけどね。

「Love changes everything」は
サラ・ブライトマンの凛とした歌声が好きな曲。
今回は3人で歌ったのですが、
最高に力強く歌詞と音楽と振りでメッセージを伝えている。
全身がミュージカルなんだよなあ。

でもさあ、なんだか、王子の曲は細切れで短くないか?
海宝くんはあんなに長めでたっぷり歌い上げてるのに…。
四季は海宝君の専門、
ジキハイはカッキーの主演作だとしても、
『ディア・エヴァン・ハンセン』なんて、王子が推してるミュージカルではないか!

と思ってたらさ、
ラストは王子のソロで『Your song』
え?驚きと感動で泣けた。
王子の歌でこの曲が聴けるとは。
それもさあ、この曲を完全にミュージカルに仕上げた。
そこに、ミュージカルを引っ張る強い意志と責任感を感じたのだ。

井上芳雄はミュージカル界のプリンスというよりキングかもね。

全成さん@『鎌倉殿の十三人』


歴史もの得意じゃないのに
三谷さん脚本のためかとても面白く
毎週楽しみにしている『鎌倉殿の13人』。

昨日の全成さん=ニイロさん、すさまじかったです。
「頼家に呪詛を行え」とたぶらかされ
最初はダメだと言いつつ、結局うまく丸め込まれ、頼家にバレて
一旦はなんとか流刑にとどめてもらったものの、
再びそそのかされて死罪となる。

とりつかれたように呪文を唱える全成に応えて
空は荒れ狂う。
ここで全成が念じているのは、
頼朝への恨みではなく、ひたすら妻・美衣(宮澤エマ)が
無事に生き延びること。

訃報を聞いた美衣の気丈な姿にも心打たれる。

全成・美衣夫婦はこれまで、中途半端な喜劇調で
ニイロ兄さんとエマちゃんの無駄使いだなあと思っていたのよ。
でも、ここにきて実力発揮☆
ナレ死の人物も多い中、
今回はスタッフの力を結集したことがわかる
音・光・映像と、もちろんニイロさんの迫真の演技。

三谷さんの二人への信頼度がわかり、
ミュージカルファンたちも誇らしい回となりました。

テレビ録画『スパイの妻』


【監督・脚本】黒沢清
【脚本】濱口竜介、野原位
【キャスト】
蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史

ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した作品。
映画館で見たかったけど、テレビドラマバージョンで。
※ネタバレします。

*1940年の満州。恐ろしい国家機密を知った優作(高橋一生)が、
正義のために国を裏切ってでも真実を世に知らしめようとする。
それを知った妻の聡子(蒼井優)もスパイの妻として、
愛する夫と運命を共にすることに誓う。

主演の二人が上手だから、
愛し合ってるものの本心なのかだましてるのか、
だまされているふりをしてるのか
わざの罠をかけているのか、
ずっと探りながら話が進む。

優作は一人で決行するつもりだったが、聡子の熱意に折れて
一緒にアメリカに亡命し、告発しようと計画する。
現金は危険なので、闇市で貴金属や時計に交換する。
スパイ気分で大はしゃぎの聡子。
この様子をみて、優作に思うところがあったのか、
最初から決めていたことなのか。
一緒にいると危険だからそれぞれ別ルートでの密航を計画し、
船に乗り込んだ聡子は、密告ですぐにみつかり、密航に失敗。

この密告者が優作だったと思われるのだけど、
そこは明らかにはされない。
別ルートでアメリカに渡った優作の消息も知れない。
聡子はその後アメリカに渡るのだけど、
それからどうなったのかも語られない。

なので、受け取り方は観客に委ねられる。
スパイ気分の聡子に、そんな遊び半分の気持ちじゃ
密航なんてできないし、アメリカでも通用しない、
そうなるくらいなら、はやめに捕まった方が
聡子のためだ、という優作の愛ゆえの決断だったと思いたい。

高橋一生は飄々と掴みどころがなく怪しげで
蒼井優は昔の女優風に口を開けない早口言葉に
クラシカルな衣装がよくお似合い。
二人とも美しい。
付け加えると、ナイロンみのすけさんの台詞が
聞き取りやすくてきれいだわ。

録画『負傷者16人-SIXTEEN WOUNDED-』


■作:エリアム・クライアム
■演出:宮田慶子
■出演:井上芳雄(マフムード) 益岡徹(ハンス)
東風万智子 粟野史浩 あめくみちこ

今さらながら、やっと10年前の録画を鑑賞。
予想はしてましたが、重たい作品でした。
ユダヤ人とパレスチナ人のお話ですからね、
日本人には理解できない世界でもあります。

けどね、テーマはちゃんとつかんだ気がします。
舞台はずっとパン屋セットのままで、
ナチスやテロの話はその外での出来事として展開します。
人種や宗教の違いで、外では闘いがあっても、
パン屋の中では、ひとりの人と人。
いくらケンカしても真意は伝わるし、
そんなことは関係なく信頼関係や友情は生まれる。

王子が得意の悩める役。
怒りも悩みも、ラストの葛藤もさすがです。
相手は益岡さんなので大船にのってます。
ハンスの最後の説得が果たされなかったこと、
マフムードにはあの道しかなかったのか、
つらい結末となりましたが、素晴らしい作品でした。