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ミュージカル 「100万回生きたねこ」

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■日時:2013年2月9日(土)13:00
   (1幕1時間20分 20分休憩 2幕40分)
■会場:北九州劇場
■演出:インバル・ピント、アブシャロム・ポラック
■出演:森山未來、満島ひかり
田口浩正、今井朋彦、石井正則、大貫勇輔
銀粉蝶、藤木孝
水野栄治、柳本雅寛、江戸川卍丸、皆川まゆむ、森下真樹、
清家悠圭、鈴木美奈子、三東瑠璃

それはそれは美しい世界でした。
クリエイティブってこういうことなんだなあ。
そしてとびきりハイクオリティのセンス。

奥行きのある部屋のセットはシンプルだけど
色合いといい、ちょこんとおかれたお家といい、
なんとも愛らしく、そこに女の子・満島ひかりちゃんが
ぴったりしたドレスを着てパントマイムのようにピコピコ登場します。

この時点で胸打たれた。
美しい、美しすぎます。
ひかりちゃん、動きがとてもよいです。

そこにトラネコ未來くん登場。
しな〜り床に寝そべったり、本棚に上ったり、
どうみても猫!

佐野洋子「100万回生きたねこ」が原作で、
それをダンサーであるインバルとアブシャロムが振付・演出。
100万人の飼主のもとで可愛がられては死に、100万回生まれかわるネコ。
どの飼主も悲しむけれど、ネコ自身は平気で「そんなの日常さ」。
ある時、ネコは飼い猫をやめて自分のネコになり、白ネコに出会う
というお話です。

前半はネコが王様の猫になったり、手品師の助手になったり、
泥棒の仲間になったり、船乗りの猫になったり。
台詞は少ないのですが、韻をふんでて掛け合いも小気味よく、
楽しく、かつセンスの良さを堪能。

細かいパーツも人がイスになってたり、天井から泥棒が現れたり、
可愛さがあちこちに散りばめられててドキドキが続きます。

そんな中、未來くんはさすがだ!
しなやかな動きはもちろん、歌もよいし、
1幕はへそ曲がりキャラで、表情もねじ曲がっててくそガキっぽい。

そして2幕で白ネコと出会うわけですが
この出会いのシーンがとても素敵。
自分のこれまでの数々の武勇伝をどうだ!とばかりに自慢しまくるトラネコに
全く無関心で、トラネコの方を見ることさえなく「そう」。
この時のトラネコの自慢話と白猫の「そう」の間が絶妙なの。
そしてひかりちゃんの声が透明!

そうするうちに2匹の距離は近づき、
しりとりをはじめます。
・・・「すき」「きざ」が何度か繰り返された後、
・・・「すき」「きみ」。

なんだあこれは!!
やられた〜!

このしりとりの間に2匹は歳を重ね、
しりとりは「よぼよぼ」
トラネコの膝で眠る白猫は翌朝になっても目が覚めなくて…。
この時はじめてトラネコは泣くのです。
大泣きするの。

あ〜、切ない。書いてても泣けてくるよ。

全体として台詞はとても少なくてシンプル。
ミュージカルというよりバレエのような動きだけで魅せるシーンが多数。
その中で、第2のお目当てだった大貫くん、目立ってたよ〜!
集合で踊ってても、大貫くんはすぐみつけられます。
ダンスだけでなく、台詞も結構ありました。
声もしっかりしてたし、ダンスも台詞もできれば有望だね。

お目当ての未來くんも、大貫くんも、他のキャストさんも
セットも台詞も音楽もダンスも
とにかく全てが素敵だった。

あの世界に身をおけたことに感謝。

ソニンのエッセイ

宅ファイルという大容量データを送信できるサービスのサイトで
ソニンちゃんが「明日に生きる言葉」というコラムを書いています。
アメリカに行ってからブログは更新されず、
コラムも終了かと思っていたら、先日新たにアップされてました。
こちらの連載は続くようですね。

その時に感じたことにこだわり抜き、でも真っすぐに書いてあるので
人柄が感じられます。
今回のテーマは「冒険」。
きっとアメリカでいろいろ考えることがあるのでしょう。
近況報告とかは全くなく、思いだけが綴られていますが、
1年後のお帰りを楽しみにお待ちしましょう。

『組曲虐殺』

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◆日時:2012年1月12日(土) 12:30
    1幕1時間40分 15分休憩 2幕1時間20分
◆開場:キャナルシティ劇場
◆作:井上ひさし
◆演出:栗山民也
◆出演:井上芳雄 石原さとみ 山本龍二 山崎一 神野三鈴 高畑淳子
◆音楽&演奏:小曽根真

う〜ん、重い、重たい、重たすぎる…。
放送で観ていたとはいえ、生はさらに痛ましくてキツかった。
お仕着せではなく、軽いペーソスで進行するんだけど、
精神的にそうもいかず…。
笑いの部分もいっぱいあり、会場も大笑いしてたけど、
気持ちが沈んであまり笑えなかった。
「ゆるぐねえ…」

でも、こんな痛ましい作品だからこそ、家で録画で観るのではなく、
ちゃんと会場で生で一緒に向き合うべきだと思った。

「後に続く者を信じて走れ」
これ、今はまさにアンジョとダブる。
でも、本当にあったこと、拷問の事実を思うと
さらに痛ましい。
「変わらない、何一つ」だったアンジョたちと違って
多喜二の虐殺は何かを変えたのだろうか。

王子は素晴らしかった。
苦悩させたら若手ナンバーワンだね。
さらっとした和装もいい感じ。
再演だけに、6人の役者さん+小曽根さんのチームワークが固いので、
作品が安定しています。

会場にはお父様らしき姿も見え、
きっと王子の同級生と思われる男子グループもいたり、
こっくり居眠りするおばあちゃんはご親戚かしら?

カテコも内容が内容だけにいつもの爆笑地元トークも全くなく、
お辞儀だけで終了しました。

アカデミー賞ノミネート

日本だと公開が遅かったりして作品名を聞いても???
なことがあり、賞とかには疎いのですが、
マイブームのレミなんてどうなのかなあ?
と、とりあえずチェック。

個人的にはそりゃあ、圧倒的にレミですが、
客観的にはそういう世界ではないのね。
それにミュー映画はもともと失敗しやすいジャンルだそうな。
フーパー監督、『英国王のスピーチ』の後でよくチャレンジしたなあと。

で、最有力は『リンカーン』なのね。
予告編見たけど、ダニエル・デイ=ルイスはやっぱり素敵。
そして、意外だったのは次が「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」。
なんとも奇妙な作品だなあと思って試写会もスルーしたのに、
評価が高いんだ。
アン・リー監督だしね。

そして、ヒュー・ジャックマン、ちゃ〜んと主演男優賞にノミネート。
アンは助演になるのね。

日本のミューファンは昨日の東宝メルマガでショックを受けているはず。
体調を整えるための休憩ならいいんだけど、
大丈夫なのかと心配になる。

映画『レ・ミゼラブル』3回目 追記

しつこくてごめんなさい。
まだいきますよ〜!

〈気になる疑問など〉
*工場シーンでどうしてフォンテーヌはピンクのドレスなんでしょう?
背丈もあるからアンは目立つし、ピンク色のために変に浮く気がするのです。

*ジャベールが着任した時、マドレーヌがロザリオを渡すのだが、
これは後で登場するのか?またはどういう意味があるのか?

*これはミュージカルの時から気になってたんだけど
『Who Am I?』で胸の刻印を見せるよね。ということは、
身代わりに捕えられた男の潔白は刻印がないことで証明できたのでは?

*ジャベの制服が明るいブルーからダークに変わっていくのですが、
後半で帽子を縦に被っているのは、地位の違い?

*コゼットがバルジャンのシャツの袖をめくろうして慌てて隠す
これって手首辺りに刻印があるってこと?

子どもの頃読んだきりで、小説の記憶がほとんどない。
〈ネットでチラ聞きして納得したことなど〉
*マリウスが拾うコゼットのハンカチは小説では大事なモチーフ
*バルジャンたちを助けてくれたフォーシュルヴァンさんの名前を偽名にする
*バルジャンの告白の後、マリウスは敬遠してしばらく距離をおく。
 ミュージカルの時から感じていた、告白の後、いきなり結婚式→
 テナの話で大きく反省→バルジャンの元へ
 の流れが違和感ありだったので、理解できました。

〈作者の意図〉
*宗教観
バルジャンが生まれ変わるのも、ジャベが天空を見上げるのも
マリウスへ告白するのも、随所に十字架が登場します。
教会シーンも多数あり、「神の御心」や「赦し」などの言葉も。
なので、宗教が大きく関わっているのだろうと推測されますが、
その辺りの理解は手が出ず…。

*学生たちの革命
どうして学生たちが市民にあっさり裏切られるのか、
ここもミュージカルの時から不明だったのですが、
先日のややちゃんの話で理解に近づきました。
ユーゴーは、戦いでは何も解決しない、という考えで、
学生たちの動きには否定的。
確かにこの作品のテーマは「愛」や「赦し」。
なので、アンジョはかっこよく描かれていますが、
最終的には援軍は来ず「市民は来ない」のも納得。
ジャベの「学生の裁判、笑わせるぜ!」もユーゴーの代弁かと。

自分でもどんどん深みにはまっているなあという感じ。
不明点もどんどん湧いてくるので、みなさまにご指南いただけると嬉しいです。
みんなで集まってレミ会でも開けると楽しいのにね。