Daily Archives: 2024年3月29日

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KERA CROSS第五弾 『骨と軽蔑』


■日時:2024年3月29日(金)14:00
1幕90分 休憩25分 2幕65分
■会場:博多座 G列センター
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■出演:宮沢りえ(長女)、鈴木杏(次女)、
犬山イヌコ(女中)、堀内敬子(長女の編集者)
水川あさみ(社長秘書&愛人)、峯村リエ(社長夫人)、
小池栄子(長女のファン)

この出演者だと唸るよね。
おまけにケラに宮沢りえちゃん?
博多座ってのが少し大きすぎるけれど、
いそいそ出かけました。

*おはなし
東西に分かれて内戦状態の国。爆撃の音が聞こえている。
男たちはもちろん子どもまで徴兵され、女たちももうじき…。
軍需産業を営む社長宅が舞台。
社長は死の床で愛人(水川)のみが世話している。
社長夫人(峯村)はアル中、長女(宮沢)は小説を書きながら、
徴兵から逃げて行方不明の夫を待っている。
次女(鈴木)も実は長女の夫が好きで、姉へ届く手紙を抜きとって読んでいるが、
実はそれは姉の大ファン(小池)が書いた偽手紙だった。

爆撃音が聞こえ、空爆で空の色も変わってるのに、
この事態に無関心な社長家族。
この浮世離れ感、どこかで感じたなあと思ったら
「櫻の園」だね。
事態を理解せず、呑気なお金持ち夫人。

ケムリ研究室はさっぱりわからなかったし、
最近のナイロンはsasaの好きな「くだらなさ」
が少なかったのですが、
久しぶりにナンセンスコメディだった。

姉妹で「私のクッションを取った」いや「もともと私のものだった」や
どちらが先に長女の夫を好きだったかの
エンドレスの応戦、
傍から見てると、どっちもどっちなくだらないやり取りを
延々続ける。
この無駄を面白くするのがsasaの好きなとこなのよ。

宮沢りえちゃんはアンナカレーニナの時とかあまりの熱演に
ちょっと引いてしまったけど、
今回はこのくだらないやり取りを大真面目にやってるのが
おかしくて仕方ない。
本人も楽しんでるように見えた。

もちろんみなさん、ケラ曰く「手練れの女優」さんですが、
中でも堀内さん光ってたなあ。
「虫」と言われても違和感なくすっとぼけてて
それが愛らしいの。
実は歌も上手なのに、間の取り方も冴えてる。

プロジェクションマッピングはいつものケラ作品に比べると少し控えめで
でも、不穏レトロな音楽はセンスいい。

お話自体は、呑気な社長夫人が会社を継いで
だんだん金の亡者、狂気に進む。
爆撃音は最初から最後までなり続け、
最後も…。

今の時代、表現者の方たちは
このテーマを無視するわけにはいかないのだと思う。
そして、紛争があるという重たさを頭の端に感じながらも
呑気に暮らしている私たちは
社長家族と同じか。