博多座『ガラスの動物園』


■日時:2021年1月8日(土)12:00
■会場:博多座 3階 A列サブセンター
■原作:テネシー・ウィリアムズ
■翻訳:小田島雄志
■演出:上村聡史
■出演:
岡田将生[トム・ウィングフィールド]
倉科カナ[ローラ・ウィングフィールド]
竪山隼太[ジム・オコナー]
麻実れい[アマンダ・ウィングフィールド]

なんだか暗そうだし、あんまり期待せずにとったチケットでした。
これがねえ、岡田将生くんのお芝居の上手さにびっくり!

岡田くんを初めてみたのが映画『重力ピエロ』で、
なんて美しい男の子なんだ、
でも演技下手だなあと思ってたのよ。
それからいくつか映画は見たけど印象薄くて、
でもおバカな役とか、嫌な奴とか、
美少年なのに役の幅広いなあとは思っていました。
でもねえ、舞台はまた違うからねえ…

と期待せずに行ったら、
階段の上に立って話し始めたときから
「え?」
台詞がすごくきれい、滑舌いいし、
長台詞なのに分かりやすいの。
テネシーウィリアムズなので、決して今の言葉ではない。
聞くのには結構集中力がいるの。
でもすーっと入ってきます。

もともと好きなお顔No.1ではあったのです。
だって王子と顔似てるよね?
あの系統のお顔が好きなのよ。
でもさ、王子は細身長身で身のこなしは軽やかだけど、
スポーツ好きってわけじゃないから
体幹というか、舞台上にずしっと立ってる感じは薄いよね。
岡田くんはバスケやってただけあって、
立ち姿の存在感とオーラがあって、動きがきれいなの。

これはシェイクピアいけるじゃん、と思ったら
蜷川ハムレットやってたのね。
きっと鍛えられたのだと思うわ。
ブラッケンムーア観てないのが悔やまれる。

お話自体も原作読んだことありませんが、
とてもつらかった。
口うるさく過干渉な母親アマンダ、
脚が悪くて極度に内向的な姉ローラ、
嫌々単調な倉庫の仕事をする主人公トム、
かつて人気者だった同僚ジムも今はパッとしない。

いちいち指図する母親にローラは服従、
トムは嫌気がさしている。
出て行った父親のように自分も出て行きたい。
でも姉を置いてはいけない。

麻実れいさんのアマンダは本当にうるさくてめんどくさい、
観客はみんな子供に同情するよね、
トムが今の仕事嫌がってることわかってるのに、
辞められると食べていけないので続けさせている。
ローラも無理やりビジネススクールに通わせ、
結果無理で、ローラは学校に行けてない。
これは嫁にやるしかないと、
トムに、相手になりそうな人を家に連れてくるように言う。

トムが連れてきたのは、高校時代にローラが憧れていた
人気者のジム。
このジムが意外にいいやつで、超人見知りのローラの心を開き、
この先うまくいくかに見えた。
が、ジムは正直に婚約者がいることを伝え、
ローラはかえって傷つくことになる。

でもね、誰も悪い人はいないのよ。
アマンダは娘の将来が不安で、せっせと勧誘電話の仕事するし、
ローラは根から優しい性格、
トムは母にひどい言葉を浴びせてもすぐ反省するし姉思い、
ジムは頑ななローラを変える。

でも、とにかく終始閉塞感。
誰も救われなかった。
陰鬱な中で、sasaも含めて観客は
自分に照らし合わせていたんだと思う。

家族円満で、家族全員に問題なくて
仕事もうまくいってて
経済的に不安はなくて、
夢は叶って…なんて人はほとんどいないと思う。
誰でも自分に思い当たることがあるから
ずっと続けられてきた戯曲なのだと思う。

あんな王子様みたいな岡田将生くんが冴えない青年で
あんなに美人な倉科カナちゃんが内向的で嫁に行けず
地味な堅山さんが高校時代のスター
って見た目的にちょっと無理があった。
ガラスの動物たちも、あんなにぼってりしてなくて
もう少し繊細で儚げであってほしかったけど、
見終わった感想としては、思わぬ大逆転、
めでたい2022年初観劇でした。

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