舞台『Le Fils 息子』


■日時:2024年4月25日(木)14:00 2時間10分休憩なし
■会場:東京芸術劇場 シアターウエスト H列 16番
■日時:岡本圭人 若村麻由美 伊勢佳世 浜田信也 木山廉彬 岡本健一

気になっていたけど、ぎりぎりにチケットが手に入った。

息子二コラ(岡本圭人)の不登校を悩んだ母アンヌ(若村)が
別れた夫ピエール(二コラの父・岡本健一)の元に相談に来る。
思春期で精神的に難しいというだけでなく
両親の離婚に傷ついている。
ピエールが二コラを預かることにし、
自分なら息子の心の傷を回復できると思ったのだが、
二コラにすれば父親の新しい奥さん、
そこにもうすぐ生まれてくる赤ちゃん
の中での生活には居場所はなく、ますます孤独を募らせる。

アンヌもピエールも息子を愛している、
なんとかしたい、と思っていても
それは伝わらないし、観客の客観的な目には、
両親の離婚がどんなに彼を傷つけているかに
二人とも気付いてないように見える。
そして、ネタバレすると最悪の結末を迎える。

離婚という明らかな理由があるかどうかではなく、
思いというのは伝わらないものだ。
わが身に置き換えると、大事に育てたつもりの子どもたちに
その気持ちは伝わっていないわけで、
大事にしてたつもりが、気付かない部分で傷つけていたのだろうし、
逆にこちらが傷ついたことも多い。

「つもり」はあくまでも「つもり」であって
届いてなかったということだ。

作者のフロリアン・ゼレール曰く
「相手を助けるつもりで追い詰めてしまい、
結果的に傷つけあう経験は、実人生で多くの人が味わいます」。

とても心の痛い作品だった。

今年は岡本健一さんを観る機会が多いのだが、
「俺がなんとかしてやる」
と言って結局何もできない、
無力で陳腐な父親役が見事だった。
↑これ褒めてます。
親子共演の圭人くんも、もがいてもがいて
当たり前に嘘をつく息子役がよかった。

辛い思いをするつもりで観に行って
その通りとても辛い思いをした。

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