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麿赤兒によるトーク「アジアの中心で壺中天を語る」

先日の舞台『金閣寺』で観た舞踏集団「大駱駝艦」さんに興味が沸き、
その主宰である麿赤兒(まろあかじ)さんのトークショーに
行ってきました。
みなさま「大駱駝艦」ってご存知かしら?
写真の下方に折り重なるように横たわる白塗りの人間が見えるでしょ?
sasaも今回初めて知ったんだけど、見た目は「山海塾」と一緒。
でも、実は「大駱駝艦」の方が本家なの。
そこから天児(あまがつ)さんが出て「山海塾」を創設したらしい。
何故ああいう不気味で摩訶不思議な舞踏をするのか
お話を聞いたら理解できるのかなあと思って。

つるつる頭にがしっとした目つき、口ひげ、皮スーツにブーツ
という出で立ちで麿赤兒さんが登場。
見た目怖いわあ。
ところが、しゃべりだすと、酒好きのおっちゃんみたい。
真面目なのかふざけてるのか、
ちゃんと考えてるのか、考えるより感覚を重視しているのか、
よくわからない。
わからないようにしているのか?
するりするりと交わされる。

そして、司会の方はズバリ聞いてくれました。
「これ、いつも聞かれる質問だと思うんですけど、
どうして裸で真白なんですか?」
そうそう、ご本人にしてみれば聞き飽きた質問だろうけど、
素人はまずそこが知りたいのよ。
すると麿さん「後付けはいくらでもできるんだけどね、
人は白い物に憧れるとか、天児曰く『人は結局骨ですから』とか。
でも、最初はただ目立ちたかったんです。」
うわぁ〜正直な人だと思ったよ。
それだけで39年も続けて来たわけではないと思うけど、
そんな大事な部分をあっさり白状するのは、あっぱれだと思う。
この怪しげなおっちゃんに一気に信頼を寄せてしまった。
一緒に壇上にいらした田村一行さんもとても真面目で誠実。

カギは「嘘っぽさ」と「本当っぽさ」にあるみたい。
例えば「寒い」とか「痛い」とか言葉で伝えるのは簡単。
でも、それでは嘘っぽいし、つまらない。
歌舞伎みたいに明らかに「これは嘘(虚構の世界)ですよ〜」
とやる分にはいいんだけど、
舞台で、本当っぽくやっている嘘が嫌。

その嘘っぽさと本当っぽさの狭間が簡単にわかるものなら
誰でもやっているはず。
難しいからこそ、そこを探りたくてやっているようなところがある。

う〜ん、だんだん迷宮にはまり込みそうになるけど、
意外に言いたいことはわかる。
トークの間じゅう、頭をフル回転させて聞いてました。

そして、驚きの事実は、
麿赤兒さんは大森南朋さんのお父さんです。
びっくり☆

舞台『浮標(ぶい)』

◆日時:2011年2月10日 14:00
◆場所:吉祥寺シアター
◆演出:長塚圭史
◆出演:田中哲司、藤谷美紀、佐藤直子、大森南朋、安藤聖、
    峯村リエ、江口のりこ、遠山悠介、長塚圭史、
    中村ゆり、山本剛史、深貝大輔

書かなきゃねえとは思いつつ、
たいしたことの書けそうにない『浮標』。
でも、記録として書いておこうかな。

先月の遠征で観劇いたしました。
何故観たかというと、
いつも玉砕する長塚作品に再チャレンジしたかったのと、
真面目なのかふざけてるのかよくわからない田中哲司さんと
ミーハー感覚で大森南朋さんが観てみたかったから。

黒い縁側のようなものに縁取られ、
白い砂が敷き詰められたシンプルで美しいセットです。
役者さんたちは、両脇におかれた椅子に座って
芝居を見守りながら自分の出番を待ちます。

田中哲司さんは、予想はしてたけど滑舌がちょっとキビシイ。
激情する場面も多いので、気持ちが思い余ってますます噛みます。
美しいなあと思ったのは、長塚さんの佇まい。
お医者さんの役で、妻の容態が悪化しイライラが募った主人公から
やり場のない怒りをぶつけられ、プライドを傷つけられたものの、
良識と理性でそれを抑え、冷静であろうとする姿は見応えありました。
これからも演出だけでなく、役者さんとして出て欲しいものです。

大森さんは登場すると舞台が締まるし、台詞もきれいですね。
でも、登場シーンがあまりにもちょこっとで
こんなに少なくて良いの?って心配したりして。

長い長いお芝居で、3時間50分。途中休憩も2回。
淡々と進みますが、飽きずに観られました。
これまでいくつか観た長塚作品の中ではわかりやすかった方だと思う。
台詞も衣装もセットも文学作品のようで美しかったし。
でも、ちゃんと理解できたかと言えば全く自信なく、
テーマも「生きる」ことだとは思うけど、深くは掴めず。
役者さんたちが4時間もかけて伝えてくれたのに申し訳ない…。
sasa、まだまだ力不足です。

チケット到着☆


手持ちのチケットが1枚もなくてさみしくしていたところ、
グッドタイミングで王子のチケットが届きました。
『ウェディング・シンガー』福岡公演。
チラシの王子、やけに若い!
たった3年でも、結構変わるもんだね。

年末に『LOVE LETTERS』は観たものの、
あれはまたちょっと違った趣向の舞台だし
王子の本領発揮☆とはいかなかったからね。

お席はそれ程良くはないものの、まずまずといったところ。
東京はまもなく開幕ですね♪

観劇マナー

観劇マナーについて、ちょっと物申したい!
『金閣寺』はすばらしい舞台だったのに、
観劇マナーが最悪でした。
初観劇の森田くんファンが詰め掛けてたのかしら?
携帯はsasaが気づいただけでも5回は鳴ったし、
2階席なのに身を乗り出しての観劇者多数。
2,3階席では、後方のお客さんが舞台を見られなくなるから
背もたれに背中をつけての観劇って常識でしょ。

というかねえ、
劇場のアナウンスも甘かった。
どこの劇場でもしつこいくらい携帯については注意するじゃない?
「マナーモードではなく電源切ってください」とも言われるし。
そこまで厳しくして欲しかったよ。
確かに、幕間後とかでついうっかりってこともあるから、
耳にタコくらい繰り返しアナウンスしてよかったと思うのよ。

映画程度の気分で来てたのかなあ。
ちょっと鳴るくらい、いいでしょ?って。
バイブ音くらい大したことないよって。

でも、観劇は役者さんも観客も真剣な場なのよ。
し〜んと緊迫したシーンの時にピーピー鳴るからもう最悪。
確実にステージにも聞こえてたはずで、
役者さんたち気を悪くしてるだろうなあと気が気じゃないの。

これほどまでのマナーの悪さは今まで無かったこと。
同じキャナルシティ劇場で、今回以上にシ〜ンとした
王子の『LOVE LETTERS』でも
もちろん、こんなことはなかった。
王子のファンは観劇ファンだからね、
みなさん心得ていらっしゃるわけだし。
森田くんはいつもこんな状況の中でお芝居してるのかしら?
それとも、これは福岡だけ?

舞台『金閣寺』

◆日時:2月26日(土) 13:30
◆会場:キャナルシティ劇場
◆出演:森田剛、高岡蒼甫、大東俊介、中越典子、高橋長英、岡本麗、
   大駱駝艦(田村一行、湯山大一郎、若羽幸平、橋本まつり 
   小田直哉、加藤貴宏)山川冬樹、瑳川哲朗、花王おさむ
   岡田あがさ

「すごい!」とは聞いてたけど、
ほんとにすごいよ森田剛!
アイドルだと思っててごめんなさい!
役者さんなんだ!
森田くんは最初から最後まで全くハケずに
息の詰まるような3時間でした。

またまた難しいテーマなので理解不足ではありますが、
想いだけでも書き留めておこうと思います。

森田くんは吃りの主人公溝口役。
最初の台詞から、え?何?とハッとします。
吃り役となれば、リキんだり、肩に力が入ったりしそうじゃない?
それが全くない。
静かにその人自身としてしゃべる。
「ぼく、溝口ですけど、何か?」くらいの当たり前感で。
それでいて、言葉の最初が出せないことで
外界との間に鍵がかかっている苦悶の表情。
ラストの大事なひとことも、小さな声で発するのです。
見ぶりとか声の大きさとか、そんなものに頼らず表現できるなんて!

三島由紀夫と言えば「美」がテーマだとは思いつつ、
今回印象的だったのは、溝口の内と外、自分と他者の間の壁。
母親、住職、友達にもっと自分に詰め寄って欲しいと熱望しながら
それが叶わず、全ては自分の内に。
住職は罪を叱咤することなく、沈黙という最大の罰を与え、
友人鶴川は溝口に本心を打ち明けることなく自殺する。
なんだかなあ…誰からも返ってこないのよ。
自分ってなんなんだろうって。
人の存在価値って、他者からの反応あってこそのものなのかもね。
とにかく、森田くんは溝口になりきっていた。

それと、亜門さんの演出ですね。
今回は、ダンスシーンもないのでどうなるんだろうと思っていたら、
舞踏集団の「大駱駝艦」さんたちを起用されていました。
役者さんとしても登場するのですが、
舞台装置も大駱駝艦さんたちが人力で移動し、組み立て、
時には自分たちが舞台セットの一部になります。
その動きがね、さすが舞踏家なの。
ずれると台無しの移動をピンシャン動いて、
台詞が始まるとシュル〜リと机の下に消えて行く。
でも、時には下からウヨウヨ動いたり。
こういう踊りの楽しみ方もあるのねって目から鱗。

金閣寺を人が表す発想も常人じゃないよね。
ホーメイ歌手という初耳のジャンルからのキャスティング。
この金閣寺・山川さんが登場すると、
溝口がやっとこさ開こうとした外界との接触は断ち切られる。
耳鳴りのような頭の痛くなる音を出すから
出て来ただけで、嫌〜な雰囲気が漂う。

舞台セットもシンプルなのに、
それが畳の間になったり、道になったり。
この創造・想像力も感動的。

そもそも、スタートは学校の教室のようなところに
今風の若者がばらばらっといるところから始まるの。
そこから一人ずつ小説の朗読を始めて、
スコ〜ンと『金閣寺』の世界に落ちる。

高岡蒼甫くん、へ〜いいじゃん。
大東俊介くん、不気味な程に「いい人」の役ぴったりだった。
ドラマよりずっといいわ。
中越典子さん、気っぷのいい女優さんね。艶もあって見応えあり。
これも役者さんの魅力を最大限に引き出す亜門さんの力だと思う。

大変いいもの観させていただきました☆