◆日時:2012年6月2日(土)13:00
◆会場:北九州芸術劇場
◆出演:犬山イヌコ、峯村リエ
みのすけ、大倉孝二、松永玲子、村岡希美、長田奈麻、廣川三憲、安澤千草、
藤田秀世、水野小論、猪俣三四郎、小園茉奈、木乃江祐希、伊与勢我無
〈客演〉萩原聖人、近藤フク、田島ゆみか、山西惇
ここのところ一番のお気に入りのナイロン。
3時間20分の長丁場。
集中力が途切れることも飽きることもありませんでした。
お話はティルダとコナの友情を12歳から孫の代まで描いています。
その中には小さな秘密がたくさん仕掛けられていて、
その時点では小さかったことが、後では大きくなったり全く忘れられていたり。
時間を後戻りしたり、先へ行ったり揺られに揺られながら綴られていきます。
主演のお二人が圧倒的ですからね。
犬山さんはあの通りの個性的なキャラですが、今回はそれを封印して
真面目な役どころ。
それでも、端々におかしみを覗かせています。
峯村さんも一見棒読みのようでありながら揺るぎない存在感。
大倉さんはいつものように反則技で面白い。
村岡さんもエスカレートの度合いが絶品です。
いろんな試みがされていて、
*空間的には、居間と庭が同じ空間に配され、
登場人物がその間を行き来しながらお話がすすみます。
しばらく見ていると観客も頭の中が整理されてきます。
*時間的には、2人が12歳の時から始まり、結婚後になったり、
孫の世代になったり、またまた12歳に戻ったり。
*認識的には、登場人物だけが知っている段階、観客にもだんだんわかってくる段階、
登場人物は知らないけど観客にはわかっている段階も行ったり来たり。
おかげで、一緒に時間と空間を移動させられ、ちょっと頭がクラクラ。
この試み、観客に対しても結構な想像力を強います。
で、結局sasaはナイロンの何が気に入っているのか考えてみると、
センスの良さと繊細さだと思う。
映像の使い方も「予算なくてセット作れないから」という理由ではなくて
セットの上にさらに深みや雰囲気を出すために使用。
オープニングの劇的な使い方も楽しい。
そして
「自分でもイヤになるくらい微妙なラインを狙っています(笑)」
という公演パンフのケラのコメントの通り、
重くもなく軽くもなく、はっきりしているようでぼんやりもしてて
その微妙さがなんともソソラれるのです。
公演チラシのケラからのメッセージ
「覚悟していただきたい。全力を尽くす」。
この複雑でデリケートな作品を、
どんなに心を砕いて作ったのかがよく伝わります。
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