Daily Archives: 2023年3月15日

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ナイロン100℃ 48th SESSION「Don’t freak out」


■日時:2023年3月15日(水)19:00 2時間20分休憩なし
■会場:下北沢ザ・スズナリ
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■出演:
松永玲子 村岡希美/
みのすけ 安澤千草 新谷真弓 廣川三憲 藤田秀世
吉増裕士 小園茉奈 大石将弘/
松本まりか 尾上寛之 岩谷健司 入江雅人

噂には聞いたことあるけどスズナリという劇場初です。
アパートみたいな細い鉄の階段を上り、
中に入るともうギュウギュウ。
前席との間は膝で埋まっていて通り過ぎるのもやっと。
パイプ椅子に体操座りしてる感じ。
2時間20分休憩なしと言われたけど、
一度着席すると、もう引き返すことはできない。
「間隔を空けて」なんて言葉は無意味で「密」とはこういうことです。

さて本題のお芝居ですが、面白かった~
そして、マチネで『レント』とクリエの相性を感じたように、
これもこの劇場ならではというお芝居。
KERAの「劇場と作品のマッチングは大切」という言葉通りでした。

松永玲子・村岡希美の女中姉妹が
ご主人様家族に仕えているわけですが、
実は精神病ということになっているご主人様を
井戸の下の地下室に匿っていて、
ずっと地下にいると思っていたご主人様は実は抜け道から夜抜け出し
近所の女性たちを強姦してまわっていて…
ナイロンがこんな性的な描写をするのは初めてみました。
やはりスズナリという劇場のせいかも。

そうこうするうちに1人、2人とご主人家族は消えていき、
最後に残って笑うのは女中姉妹でした。
おしまい、みたいな。
全員が白塗りメイクなのでお化け屋敷のようなのです。

内容としてはグロテスクなのですが、
ナイロン劇団員のみなさまは
せりふ回しがどう鍛えられたのか何なのか、
イントネーションと間で面白ろおかしいのです。
みのすけさんの素っ頓狂な高音も健在。

客演の松本まりかさんは初見でしたが、
あざとさ感満載のお嬢様が
実は手玉に取っていたつもりの婚約者から熱湯をかけられ、
目を開けるのもやっとの包帯顔で服従の身となります。
前半調子にのってるだけに、
後半のあきらめきった姿がなんとも哀れ。

昔々のとても古いお屋敷の設定ですが、
ナイロンお得意のプロジェクションマッピングも
違和感なく取り入れられています。

罪を犯したり調子に乗り過ぎた人たちは自業自得の罰を受け
正直者の(いや決してそういうわけでもないけど)女中姉妹が
最後に笑った。

この劇場でナイロンのきっと根っこのようなものを観られたのは貴重。

ミュージカル『RENT』


■日時:2023年3月15日(水)13:30
    1幕80分、休憩25分、2幕60分
■会場:シアタークリエ 最後列補助席
■出演:
花村想太、甲斐翔真、遥海、SUNHEE、RIOSKE、
鈴木瑛美子、塚本直、吉田広大 他

花村マーク狙いで久しぶりにレント。
ソニンミミの時号泣するほど感動した大好きな作品です。
その時は福士誠治マーク、次が賀来賢人マーク。

花村くんは歌もダンスも文句なく、
問題はこの作品は群像劇だから、
マークだけか主役ってわけじゃないところ。
ジャージーのように花村くんの高音を堪能!とはいきません。
声のハリはあるしダンスはキレッキレ。
ボヘミアンのダンスもこれまで観たマークの中で一番!
さりげなくロボットダンスもキマッてます。

そして予想以上によかったのが甲斐ロジャー。
ロッカーでワルっぽさが魅力のロジャーは
背も高く体型もしっかりした甲斐くんにぴったり。
甲斐くんはもどかしい自分にイラつきながらも
歌は正確で、動きも適格。
ムーランで王子とダブルキャストになるのも納得。
ベテランから一人、若手から一人
ってのも面白い競演になりそうですね。
王子は王子様キャラ、悶々と悩ませたら天下一品ですが、
不良系が合うとは言えない。
本人が言う通り、品が隠せない。
両方似合う甲斐くん、役の幅は広いかもしれません。

一番好きだったのは遥海ミミ。
痩せたモデル体型ではなく、
肉感のあるボリューミーな身体。
その身体で体当たりなダンスで自分を表現し、
ロジャーに向かっていく気迫が凄まじかった。
ソニンはミミを演じる時、身体を絞って臨んでましたが
ショーガールなのでボリューミーでも良かったのにね。

モーリーンも大変な役ですね。
再演を重ねるごとに過激さが増していってます。
前回よりさらにおかしなキャラクターになっていく。
ソニンもよく引き受けたものです。
あのパフォーマンスの意味はいまだによくわからないけれど
強い抗議と主張があることは確かなので
後日調べてみたいと思っています。

レントって若手の登竜門的作品で、
キャストさんたちは、
ここで勝負して上にあがっていこうという気迫に満ちている。
そこが、登場人物たちの
レントも払えず、ぎりぎりの生活、ぎりぎりの精神状態
と重なって、熱い舞台になるのだと思う。

さらに、レントにはシアタークリエがぴったり。

以前福岡市民会館というsasaの歳よりも古い
合唱コンクールもピアノ発表会なんでもありのホールで
観たことがあるのだけど、
その時ばかりは感動しなかったの。
後方席が広がってるタイプのホールで音がバラける。
クリエは歌長方形タイプで音も熱量もギュッと凝縮する。

これからもレントはクリエで観たい。