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「名付けようのない踊り」上映&田中泯・犬童監督アフタートーク

■日時:2022年11月6日(日)17:35~
■会場:福岡市科学館 サイエンスホール

福岡インディペンデント映画祭の特別招待上映にて
田中泯さん主演の映画上映とトークショーがあったので
仕事終わってから駆け付けました。

田中泯さんのダンス公演や日常のドキュメンタリー映画。
最近では『鎌倉殿の13人』に藤原秀衡役で出演し、
圧倒的存在感でした。
踊りはといえば、麿赤児さん系の凡人にはわからないアート。
床に這いつくばったり、蜘蛛と踊ったり、
踊り自体が好きかと言われれば、
さっぱりわかりませんと答えます。

日本の道端でこんな踊りをされても、
お年寄りは怖がって逃げます。

これがフランスだと反応が違う。
みなさん、感心しながら見ていて、
「見ていて私も心が躍りました」と。
やはりアートを理解する国民性なのだなあと思った。

上映の後、泯さんと犬童監督のトークショーがあり、
二人ともよく喋る!
二人で飲み屋に行ってるかのように
ダラダラいつまでも。
泯さんはあんな風貌だけど、意外に気さくなのかも。

77歳にして、ダンスではなく、野良仕事で鍛える主義で、
身体がしっかりしてるから精悍でかっこいい。
座ってるだけでも絵になるお方でした。

映画『女優 原田ヒサ子』

マチノブンカサイに優河さんというアーティストが出演していました。
とてもきれいな高音で、
曲の雰囲気はヒーリングミュージックのような
エンヤ風?

MCで曲の説明をするのですが、その中で
「祖母の映画を母が作ったんです。その曲を私が…」
みたいな話があって
ん?
映画なんて、そんな簡単には作れないよね

そっか~!
お母さんは原田美枝子さんだ。
その映画って今映画館で観られるわけではなくて
たまたま泊まったホテルのNetflixで観ることができました。

施設にいる認知症のお母さん。
ある時「私ね、15歳の時から女優をしているの」と言い出した。
もちろん女優をしていたのは原田美枝子さんで、
お母さんは娘の仕事のために
お孫さんたちの育児や家事のサポートをしてきた。
お母さんにとっては、娘の人生は自分の人生と同じ。

子どもって、自由に親から離れるけど、
親の心は子どもから離れられない。
子どもの人生を一緒に歩んでいるようなもの。

認知症のお母さんがそれを口にすることはないけれど
この言葉で原田美枝子さんはその思いに気付いた。
それに応えるために「女優原田ヒサ子」の写真を撮る。

もちろん、原田美枝子さんにはお金があるから
お母さんを立派な施設に入れることができて
自分で介護をしてるわけではない。

でも、どんな衝撃を受けたのか
母でもあり娘でもある人にはきっとわかる。

テレビ録画『スパイの妻』


【監督・脚本】黒沢清
【脚本】濱口竜介、野原位
【キャスト】
蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史

ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した作品。
映画館で見たかったけど、テレビドラマバージョンで。
※ネタバレします。

*1940年の満州。恐ろしい国家機密を知った優作(高橋一生)が、
正義のために国を裏切ってでも真実を世に知らしめようとする。
それを知った妻の聡子(蒼井優)もスパイの妻として、
愛する夫と運命を共にすることに誓う。

主演の二人が上手だから、
愛し合ってるものの本心なのかだましてるのか、
だまされているふりをしてるのか
わざの罠をかけているのか、
ずっと探りながら話が進む。

優作は一人で決行するつもりだったが、聡子の熱意に折れて
一緒にアメリカに亡命し、告発しようと計画する。
現金は危険なので、闇市で貴金属や時計に交換する。
スパイ気分で大はしゃぎの聡子。
この様子をみて、優作に思うところがあったのか、
最初から決めていたことなのか。
一緒にいると危険だからそれぞれ別ルートでの密航を計画し、
船に乗り込んだ聡子は、密告ですぐにみつかり、密航に失敗。

この密告者が優作だったと思われるのだけど、
そこは明らかにはされない。
別ルートでアメリカに渡った優作の消息も知れない。
聡子はその後アメリカに渡るのだけど、
それからどうなったのかも語られない。

なので、受け取り方は観客に委ねられる。
スパイ気分の聡子に、そんな遊び半分の気持ちじゃ
密航なんてできないし、アメリカでも通用しない、
そうなるくらいなら、はやめに捕まった方が
聡子のためだ、という優作の愛ゆえの決断だったと思いたい。

高橋一生は飄々と掴みどころがなく怪しげで
蒼井優は昔の女優風に口を開けない早口言葉に
クラシカルな衣装がよくお似合い。
二人とも美しい。
付け加えると、ナイロンみのすけさんの台詞が
聞き取りやすくてきれいだわ。

2021年エンタメ回想

こちらも年末恒例エンタメ回想でございます。
が、語れるほど観ていない。

とりあえず映画部門は
*配信ドラマ『バビロンベルリン』
*映画『えんとつやのプペル』
*配信映画『ニノチカ』
*配信映画『アバウトタイム』
*配信映画『スノーピアサー』
*映画『アメリカン・ユートピア』
映画館で見たのは2本だけというありさま。

観劇部門(一部音楽部門含む)
*博多座『ウェイトレス』
*舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男』
*トモフスキーライブ@京都拾得
*コレクターズ35周年ライブ
*舞台 イキウメ『外の道』
*舞台『首切り王子と愚かな女』
*博多座『レ・ミゼラブル』2回
*劇団四季『キャッツ』2回
*舞台 ギンギラ太陽’s『おしまイムズ、吹き抜けよ永遠に!』
*松井英理ダンス公演『秋の声』
*博多座『王家の紋章』
*博多座『ナイツ・テイル-騎士物語-』2回
*舞台『ムサシ』
*世界体操2021
*トモフスキー@京都紫明会館
*ナイロン100℃『イモンドの勝負』

こちらは振り返ってみればそこそこ見てますね。

他にmuro式とかエニシングゴーズとかレミ千秋楽とか
中止になったものもございました。
万能ガラパゴスグローブダイナモスも仕事が入ったり。

この中で、2021年のNo.1は…

『首切り王子と愚かな女』
です。

ナイツテイルとサンソンと迷いましたが、
常に挑戦し続ける王子のチャレンジ精神に一票☆
史実とかベストセラーとかヒットする保証もない作品、
新しいものをゼロから生み出し、エンタメとして成立させる
才能と努力と情熱に敬意を表します。

他には、友達に引っ張られてショパンコンクールにハマり、
ピアニストに関心高まる。
来年ひとつピアノコンサートのチケット確保しております。

それではみなさま、よいお年を。

映画『アメリカン・ユートピア』


話題になってるのでレディースデイの仕事後に
観てきました。

ボラプ同様、トーキングヘッズのファンでもなんでもありませんが、
ミュージカル映画って聞いてたの。

ミュージカル映画ではなかったですね。
トーキングヘッズのライブ?
でも、バンドではないしなあ、
ストーリーはあって曲が流れていく、
デヴィッドバーン曰く「ショー」。
確かに劇場でやってたステージの実写です。

最初に脳みそ(もちろんレプリカ)をもったデヴィッドが登場し、
人の脳みそは赤ん坊の時がピークで
成長するにつれ、失われていく、
つまり大人の方が赤ん坊より脳レベルは低い
とかなんとか…。

それから歌とダンスが始まります。
ステージと衣装はすべてグレー。
そこにライティングで濃淡が生まれたり、
カメラが俯瞰で映したり。
画面の色味が抑えてあるからダンスが映える。

そして、デヴィッドバーンかっこよいです。
とにかくセンスがいい。
かなりのお歳と思うけど、声量に衰えなし。
こんなにかっこよかったのねえ。

選挙啓発に尽力してるらしく
大統領選挙もだし、地方選の選挙率の低さを痛烈に批判。
政治的無関心は日本だけなのかと思ったら、
アメリカもそうなのね。

最後はまた脳みその話になり、
人の脳はどんどん退化するけれども
歳を経れば人と人とのつながりという大事なものは深められる
みたいなことで終わりました。

アルバム『アメリカン・ユートピア』を聴いたこともなく、
全盛期のファンでもなかったけど、
ときどき知ってる曲が出てきたし、
知らない曲も心地よかった。