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テレビ録画『スパイの妻』


【監督・脚本】黒沢清
【脚本】濱口竜介、野原位
【キャスト】
蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史

ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した作品。
映画館で見たかったけど、テレビドラマバージョンで。
※ネタバレします。

*1940年の満州。恐ろしい国家機密を知った優作(高橋一生)が、
正義のために国を裏切ってでも真実を世に知らしめようとする。
それを知った妻の聡子(蒼井優)もスパイの妻として、
愛する夫と運命を共にすることに誓う。

主演の二人が上手だから、
愛し合ってるものの本心なのかだましてるのか、
だまされているふりをしてるのか
わざの罠をかけているのか、
ずっと探りながら話が進む。

優作は一人で決行するつもりだったが、聡子の熱意に折れて
一緒にアメリカに亡命し、告発しようと計画する。
現金は危険なので、闇市で貴金属や時計に交換する。
スパイ気分で大はしゃぎの聡子。
この様子をみて、優作に思うところがあったのか、
最初から決めていたことなのか。
一緒にいると危険だからそれぞれ別ルートでの密航を計画し、
船に乗り込んだ聡子は、密告ですぐにみつかり、密航に失敗。

この密告者が優作だったと思われるのだけど、
そこは明らかにはされない。
別ルートでアメリカに渡った優作の消息も知れない。
聡子はその後アメリカに渡るのだけど、
それからどうなったのかも語られない。

なので、受け取り方は観客に委ねられる。
スパイ気分の聡子に、そんな遊び半分の気持ちじゃ
密航なんてできないし、アメリカでも通用しない、
そうなるくらいなら、はやめに捕まった方が
聡子のためだ、という優作の愛ゆえの決断だったと思いたい。

高橋一生は飄々と掴みどころがなく怪しげで
蒼井優は昔の女優風に口を開けない早口言葉に
クラシカルな衣装がよくお似合い。
二人とも美しい。
付け加えると、ナイロンみのすけさんの台詞が
聞き取りやすくてきれいだわ。

2021年エンタメ回想

こちらも年末恒例エンタメ回想でございます。
が、語れるほど観ていない。

とりあえず映画部門は
*配信ドラマ『バビロンベルリン』
*映画『えんとつやのプペル』
*配信映画『ニノチカ』
*配信映画『アバウトタイム』
*配信映画『スノーピアサー』
*映画『アメリカン・ユートピア』
映画館で見たのは2本だけというありさま。

観劇部門(一部音楽部門含む)
*博多座『ウェイトレス』
*舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男』
*トモフスキーライブ@京都拾得
*コレクターズ35周年ライブ
*舞台 イキウメ『外の道』
*舞台『首切り王子と愚かな女』
*博多座『レ・ミゼラブル』2回
*劇団四季『キャッツ』2回
*舞台 ギンギラ太陽’s『おしまイムズ、吹き抜けよ永遠に!』
*松井英理ダンス公演『秋の声』
*博多座『王家の紋章』
*博多座『ナイツ・テイル-騎士物語-』2回
*舞台『ムサシ』
*世界体操2021
*トモフスキー@京都紫明会館
*ナイロン100℃『イモンドの勝負』

こちらは振り返ってみればそこそこ見てますね。

他にmuro式とかエニシングゴーズとかレミ千秋楽とか
中止になったものもございました。
万能ガラパゴスグローブダイナモスも仕事が入ったり。

この中で、2021年のNo.1は…

『首切り王子と愚かな女』
です。

ナイツテイルとサンソンと迷いましたが、
常に挑戦し続ける王子のチャレンジ精神に一票☆
史実とかベストセラーとかヒットする保証もない作品、
新しいものをゼロから生み出し、エンタメとして成立させる
才能と努力と情熱に敬意を表します。

他には、友達に引っ張られてショパンコンクールにハマり、
ピアニストに関心高まる。
来年ひとつピアノコンサートのチケット確保しております。

それではみなさま、よいお年を。

映画『アメリカン・ユートピア』


話題になってるのでレディースデイの仕事後に
観てきました。

ボラプ同様、トーキングヘッズのファンでもなんでもありませんが、
ミュージカル映画って聞いてたの。

ミュージカル映画ではなかったですね。
トーキングヘッズのライブ?
でも、バンドではないしなあ、
ストーリーはあって曲が流れていく、
デヴィッドバーン曰く「ショー」。
確かに劇場でやってたステージの実写です。

最初に脳みそ(もちろんレプリカ)をもったデヴィッドが登場し、
人の脳みそは赤ん坊の時がピークで
成長するにつれ、失われていく、
つまり大人の方が赤ん坊より脳レベルは低い
とかなんとか…。

それから歌とダンスが始まります。
ステージと衣装はすべてグレー。
そこにライティングで濃淡が生まれたり、
カメラが俯瞰で映したり。
画面の色味が抑えてあるからダンスが映える。

そして、デヴィッドバーンかっこよいです。
とにかくセンスがいい。
かなりのお歳と思うけど、声量に衰えなし。
こんなにかっこよかったのねえ。

選挙啓発に尽力してるらしく
大統領選挙もだし、地方選の選挙率の低さを痛烈に批判。
政治的無関心は日本だけなのかと思ったら、
アメリカもそうなのね。

最後はまた脳みその話になり、
人の脳はどんどん退化するけれども
歳を経れば人と人とのつながりという大事なものは深められる
みたいなことで終わりました。

アルバム『アメリカン・ユートピア』を聴いたこともなく、
全盛期のファンでもなかったけど、
ときどき知ってる曲が出てきたし、
知らない曲も心地よかった。

NHK『映画音楽はすばらしいⅡ』

■出演:
井上芳雄 山本耕史 平原綾香 クリス・ハート
生田絵梨花 城田優 小南満佑子 平野綾

sasaはあんまりBSチェックしないのだけど、
お友達がよく観てて、すぐに連絡をくれます。

つけた時には前半終わってて、
あ~城田くんのスタンドバイミー、
平原綾香さんのメリポピ聴きたかったよ~!

ディズニーコーナーから聴き始めたので
「CAN YOU FEEL THE LOVE TONIGHT~ライオンキング」
は間に合った。
とりあえず、これ以前に王子は歌ってないようだ。
ディズニー好きだから楽しそう。
司会進行でもないからフリー。

小南満佑子ちゃん、なんだか風格出てきましたね。
『エール』出演で大きくなったなあ。

『シェルブール』の話が出たから
ここは王子の出番!と思ったら
ちゃんとコメントしたにもかかわらず、
オーケストラとピアノのインストゥルメンタル。
主演経験のある王子がいるのにどいうこと?

「SEA OF LOVE」城田くんの声にあってるなあ。
心地よくスイングする感じ♪

そしてラストは、王子と平原さんで
「ENDLESS LOVE」。
うわ~ベタな曲だなあ、
それも声質が超個性的な平原さんとデュエット?
声がケンカしないかなあ。
確か舞台では共演ないよなあ。
が、もちろんそんな心配全く無用でありまして、
王子はあくまでも平原さんの声を立てる、
自分は静かに寄り添ってサポートし、
いいバランスに仕立てて見事な作品を成立させました。
王子の心遣いと調整に、平原さんも応えてた。
さすがのプロ同志!

いつもながら、王子に感服。
誰かのように(←ササメモ読者は誰かお気づきだろう)
俺の歌は上手い!俺が歌ってやる!ではなく、
歌そのものを良い作品にして
みんなに喜んでもらえることを最優先する。
歌も人格もエンタメプリンスなんだよなあ。
パチパチ☆

録画『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』

ずっと前に録画していた映画を観ました。

まあ、これは英国映画だし概要読んだ時点で、
好みってことは確実でした。
そしてその通り、いや期待以上のとても素敵な作品でした。

大事件が起きるわけじゃないけど
sasaが捉えたこの作品のテーマを書いてしまうので
自分で観て感じたい方はここで終了してね。

ごく普通の家庭ですが、
何故か代々男性だけはタイムスリップ(過去のみ)できる
という特殊な能力が備わっている。
つまりいつでもTake2が可能。

冴えない主人公は、好きになった女の子と上手くいくために
何回かこの能力を利用して、幸せな結婚をする。
金儲けとか汚いこととかではなく、
ちょっとしたことに可愛く使う。

無理して大きなことに使ってみたら
それで自分の人生が変わってしまったので、
やっぱり元に戻して、
地道なやり方で乗り越える。
結局は自分で解決するしかないんだ。

悪意のない目的にしか使わないんだけど、
同じ能力を持つお父さんからのアドバイスは
同じ日々をもう一度そのまま繰り返してみること。
すると、そのなんでもない日々に
大事なことが溢れていると気づく。

そしてね、主人公がさらにその先に考えたのは、
タイムスリップしてやり直しなんかせずに、
今を大事に生きようということ。
毎日がかえがえのない愛おしい時間だということ。

sasaね、こんな状況なので毎日悶々と過ごしています。
これからどうなるのかなあって先が見えず不安。
モヤモヤと気持ちの悪い日々。

でも、そんな中でも、
こんな素敵な映画に出会えたり、
美味しいご飯ができたり、
のんびり池の鳥を眺める時間ができたり、
実はかけがえのない日々なのかもしれない。

大好きなビルナイがお父さんを演じている。
実はひっそりトムヒューズも出ている。

とてもよい映画です。
おすすめ。