Category Archives: ミュージカル・お芝居

映画『ライオンキング』

ライオン・キングのイメージ画像1
大阪で1館1回のみ上映あってました。
ミュージカルファンとしては見ておかないとね。

いつも思うけど、映画は台詞がきちんと聞けるから
というか字幕で読めるから生の舞台より
お話の理解は深まりますね。

お話も歌もいいのはもちろんなのですが、
悲しいかなライオンの実写風リアルさが仇になっている。

アニメだと表情誇張して台詞しゃべったりできるけど、
なにせリアルなライオンですから
口を動かすことなく人間の言葉を喋ることになる。
喜びも怒りも無表情。
かといって百獣の王ライオンですから
凛としてないのはおかしいし。

ライオンの群れは雄1匹に他は全て雌ライオン。
なので、ほとんどはタテガミのないあの淡泊な猫顔。
ますます無表情。

何とも言えないのです。
結論から言えば、悪くはないけど1回観ればいいかな。
いまひとつヒットしなかったですよね。
こういうのってみんなが感じたことなのかも。

シス・カンパニー『死と乙女』

■日時:2019年10月19日(土)14:00
■会場:サンケイホールブリーゼ B列センター
■演出:小川絵理子
■出演:宮沢りえ、堤真一、段田安則

このレビューネタバレします。

相変わらず宮沢りえちゃん、難役されます。

弾圧とか反政府とか独裁政権とかの社会的な
馴染みのない設定のため、sasaの苦手分野。

反政府運動で拷問・凌辱を受けたポーリーナ(宮沢)は
今も心身ともに苦しんでいた。
ある日、夫ジェラルド(堤)が車の故障を助けてくれた医師ロベルト(段田)を
家に招く。
その声を聞いたポーリーナは、
彼こそ自分を目隠しして監禁し拷問した男だと確信し、
復讐を始める。
ロベルトは潔白を主張し、夫は思い込みだと説得し、
でも、当事者しか知らないことを知っている様子のロベルト。

3人の駆け引きとぶつかり合いが全てで
ポーリーヌが狂っているようでもあり、
ロベルトが嘘をついているようでもあり、
最終的に真実はわかりませんでした。

だた、ラストで、ロベルトがニヤっとしたのですよねえ。
一時はポーリーヌがナイフを突き立て、殺そうとしたところで暗転、
どうも思いとどまったようで、
3人は日常に戻り、同じ式典に同席しているようでした。

あの笑みからすると、ポーリーヌが正しく、
ロベルトはまんまと逃げおおせたのかと。

が、こういう戯曲って、観客の心理が右往左往することが
目的ではないかと思っているので、結論にはそう意味はないのかも。

3人ともそれは実力ある俳優さんたちですので、
真剣に見入りました。
堤さん、最近、コメディ路線も多い気がしますが、
正当派の2枚目さんですし声がいい。

そして宮沢りえちゃんの美しいこと。
白い普通のシャツ、ヘタすると野暮ったくなりそうな
襟のついたシャツに、長めのタイトスカート。
腰のラインが綺麗で、そこから伸びた脚のお美しいこと。
そして、ラストの式典のフォーマルでは輝くようでしたよ。
2列目でしたので、その美を堪能させていただきました。

王子の「15の夜」

仕事終わって実家に寄ったところ
母親がすごい剣幕で
「あの井上とかいう人と氷川きよしの
『恋のバカンス』が酷い!」とまくし立てる。

まあいつものことなので、あまり気にせずNHK「うたコン」録画を確認。
2人でのデュエットなのですが
氷川きよしが最近ロッカーに移行しているせいか、
かなりガナりたてる。
王子はそれに合わせつつも、うまくまとまるように低音で調整する。
そのバランスと気遣い流石!
この番組は氷川君の方がホームだしファン多いし、
王子はあくまでも氷川くんを立てる。
王子はちゃんといいところでセーブしてて
全く問題無し。

で、王子のソロはと言えば、尾崎豊の「十五の夜」だった。

正統派の王子には
斉藤和義とか米津玄師とか雰囲気ある方の歌ってイマイチじゃん?

心配しましたが、良かったです。
尾崎豊ってちょっと台詞っぽいから
台詞調の歌ならお手の物。
アラフォーの王子にとって
それもきっと荒れたことのない王子が
「盗んだバイクで走り出す〜♪」って歌ったのは
ちょっと笑いましたけどね。

ヒカリノオト『反射する惑星』

■日時:2019年9月28日(土)14:00
■会場:ぽんプラザホール 自由席
■脚本・演出:松岡伸哉
■出演:立道心 杉山英美 梅田剛利(劇団翔空間) 峰尾かおり 中島荘太 白川宏治(ユニットれんげ) 水谷文香(劇団HAっHAー!!)

関心の方向がちょっと変わってきたのか
もちろん大舞台のミュージカルももちろん好きだけど
隠れたお宝みつけたいというか
掘っていきたいというか。
で、最近地元劇団に向かってます。

チケット料金は格安なのに
いいもの作りたいという志は高く
役者さんもがんばってる。

で、今回は杉山さん見たさに行ったのですが
作品自体すご~く良かった☆

北陸の祖母の葬儀から帰ってきた生子(杉山英美)。
北陸では突然五感の一つがなくなる感染症が流行っている。
金目当てで結婚した再婚相手の殺人を計画し…。

お話がわかりやすいのと
場面の構成もすごく良かった。
転換してるのに混乱しない。

問題抱える3組の家族が出てきて
感染してしまうことでおそらく未来は絶望的なんだけど
いろいろな衝突を経て、気持ちは前に向かうという…。

見ていて辛くなったのは、
生子の娘への愛情が深い、というか執着が強い、
小さい時から精神的に支配してて、
娘は反論できない。
母からすると愛してるんだけど、
娘にとっては束縛でしかない。
援交しても家を出たい。

ここがねえ、我が身を言われているような気になって
気持ちが暗くなる。

親の愛情はともすると自分本位で、
それが本当に子どものためだったのかは
もはやわからず、やり直すこともできない。

ネタ元としては震災が大きくて
この作品に限らず、今のテーマとしては
日本人みんなの心の中にあって
それを表現せずにはいられないのだと思う。
それは表現する方もだけど、観る方も一番に結びつけている。

旗揚げしたばかりなのに既に8回公演。
次回作も2月に予定されているらしい。
杉山さんが出るのであればまた観に行こう。

こまつ座公演『木の上の軍隊』

■日時:2019年7月14日(日)12:30
■会場:ももちパレス
■原案:井上ひさし
■作:蓬莱竜太
■演出:栗山民也
■出演:山西惇(上官)、松下洸平(新兵)、普天間かおり(語る女)

母親が市民劇場に入ってまして、
脚の怪我で行けず、チケットあるよというので
急遽行ってきました。

戦時中の沖縄。2人の兵士が追い詰められて
ガジュマルの木の上に身を隠し、
終戦も知らずに2年間を木の上で過ごす。

戦争の話だけど、井上作品なので
それを悲惨に示すのではなく、
笑いを交える。それ故にさらに痛ましい。

日本人たるもの、敵軍の食料なんて口にできるか!
と大見得を切っても、
豊かな物資に次第に目がくらみ、毎晩盗み、欲に溺れる上官。
ズルさが顔を出してくる。
さらに、新兵さえいければ独り占めできるのに。
そして、終戦に途中気づきながら、
今更帰って恥をさらすわけにもいかず、知らないふりをする。

新兵役の松下洸平くん、
テレビ『カラマーゾフの兄弟』で気になってはいたものの、
舞台では初見。
期待していた以上でした。
前回この役は藤原竜也くんでしたよね。
井上さんは藤原くんにアテガキしたようですが、
藤原くんだと色が強いから、
純朴な新兵は松下くんの方があってたんじゃないかな。
愛する沖縄。沖縄と自分の家族や知人たちを守るために
真っすぐな気持ちで志願した新兵。

新兵は純朴で、素直に上官に従いつつ、
仲間の死を目にし上官の醜さや本土の沖縄への扱いに
気持ちが積もっていく。

普天間さんの歌が暗い話を情感豊かにしてくれ、
松井るみさんのガジュマルは
2人を絡めるような抱くような。
まるで動き出しそうだった。

でも、そもそも戦争さえなければ
2人がこんな2年を過ごすこともなかった。
究極のテーマは平和。

でも、個人的には沖縄以外の人間は何にもわかってないってことを
突き付けられた。
上官は結局本土に帰っていくわけだし、
犠牲になった沖縄には何の補償もなく、
さらに、ラストではオスプレイの爆音が鳴り響く。
これからも犠牲を強いられていく。

わかってないってことに初めて気づかされたけれど
わかってないことに変わりない。
気づいたことだけで少し許してほしいという気になった。