Category Archives: ミュージカル・お芝居

舞台『オーランド』

原作:ヴァージニア・ウルフ
■日時:2024年8月18日(土)18:00 2時間半(うち休憩20分)
■会場:キャナルシティ劇場
■演出:栗山民也
■出演:宮沢りえ、ウエンツ瑛士、河内大和、谷田歩、山崎一
■ヴァイオリン演奏:越川歩

これがねえ、予想通りさっぱりわかりませんでしたよ。
英文学者のお友達に
ウルフの背景だけでも知っておくといいよと言われ、
図書館でウルフの生涯のような本を借りて読み、
確かになかなかの複雑な生い立ちだし、
精神的にも生きづらかったような。

ざっくり言うと
男性として生まれ、その美貌からエリザベス女王やあらゆる女性を魅了し
7日間の昏睡状態から目を覚ますと女性に生まれ変わって
数百年生きてる人のお話。

女性の権利が制限されていたイギリス社会への
ウルフの風刺的な視点が込められた作品。
男性中心の時代から女性が一人の人間として自立してゆく様子が描かれている。
性別も変わり、時代も変わり、
以前は見えてなかったものが見えるようになった
ということらしい。

う~ん、台詞も表現も難しい。
何で見ていたかというとそりゃあ宮沢りえちゃんの美しさです。

最初シルエットでスタイル抜群の男性が立っているのですが、
これが、あれ?ジャニーズ出てた?って思うほどの
男性の姿なのです。

意味がわからないから途中睡魔に襲われながらも
りえちゃんの美しさと、情熱で
なんとか最後までたどりついた。

最後はスタオベだったけど、
みなさんほんとに理解してた?
って思った。

ジェンダレスとか男女平等とか
今では否定した方が袋叩きにあうけれど、
100年前のウルフがこの主張をするのは
とんでもない暴挙だったことだったろう。

ナイロン100℃ 49th SESSION『江戸時代の思い出』

■日時:2024年8月10日(土)12:30
1幕100分 休憩15分 2幕80分
■会場:北九州市芸術劇場 E列センター
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■出演:三宅弘城、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、大倉孝二、
松永玲子、安澤千草、藤田秀世、喜安浩平、眼 鏡太郎、猪俣三四郎、
水野小論、伊与勢我無、木乃江祐希/
池田成志、坂井真紀、奥菜 恵、山西 惇

ナイロン初の時代劇とのことです。
武士道武士之介(三宅)という町人が、
桂川人良(大倉)というお侍さんを呼び止めて
自分の思い出話を聞いてくれ、というところかは始まる。
思い出と言いつつ、なぜか未来の話で、
誰が武士之介の未来の姿なのかも曖昧なまま
時代を行ったり来たり。

その未来の世界では同窓会に集まった仲間が
タイムカプセルを掘り出してるうちに手や足が出てきたり、
時代変わって飢饉になったり疫病が流行ったり
顔が尻の臀侍(しりざむらい)が出てきたり
劇場スタッフなのか落ち武者が出てきたり、
3時間強一体何を見せられているのかわからなかった。

ナンセンスコメディと言っても
何かしら今との関わりがあるのではないかと思い、
コロナ、マイノリティ差別、極限状態での人の狂気
とか考えてみましたが、納得にはいたらず消化不良。

3時間見られたのは確実に好きな役者さんたちだから。
三宅さんのボケた演技、みのすけさんの声、
犬山さんのすっとぼけ、峯村さんのズレ、
大倉さん今回は結構お人よし、ゲストさんたちを含め
役者さんがいいんだよなあ。

『イモンド』の時も思ったけど、
お話自体はナンセンスコメディであってもテーマがわかるものが好き。
面白くなかったとは言わないけど、
カテコでみんなが立ち上がる中、スタオベはしなかった。

う~ん、大好きだったナイロンもヨーロッパ企画も万能ガラパも
このごろあんまりハマらない。
今一番見たいのはパラドックス定数。
年に1本しかやらないのかなあ。
来年2月って言ってたのでそれを待つのみ。

彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1「ハムレット」

■日時:2024年6月16日(日)12:30
1幕1時間45分 休憩15分 2幕1時間35分
■会場:北九州芸術劇場 大ホール
■演出:吉田鋼太郎
■出演:柿澤勇人、
北 香那、白洲 迅、渡部豪太、豊田裕大、櫻井章喜、
原 慎一郎、山本直寛松尾竜兵、いいむろなおき、
松本こうせい、斉藤莉生、正名僕蔵、高橋ひとみ
吉田鋼太郎

とにかくカッキーブラボー!
素晴らしかった。
2月の「オデッサ」といい、カッキーすごい役者さんだ。

気持ちいいのは、
めんどくさいシェイクスピアをさらっと演じてるところ。
蜷川シェイクスピアといえば藤原竜也さんで、
sasaはあの力のこもった発声が得意ではない。
シェイクスピアだからあれくらい芝居っぽい方がよいのかもしれないし、
蜷川さんの指導はそうだったのだろうけど、
聞いてて疲れる。

カッキーは「なんでもないよ~」って風に
普通のお芝居のよう。
四季仕込みの?滑舌の良さで、台詞が聞き取りやすいし、
自然にわかりやすく伝えてくれる。

乱れた髪に白いレース風のシャツと黒パンツが
品格と色気があって美しい。

あんなに長い上演時間だったのに
ずっとカッキーに惹きつけられていた。

こんなに分かりやすくしてくれたのは
吉田鋼太郎さんの演出も大きいよね。

オフィーリアの北 香那ちゃんの狂気も
全身で表現していて動きがきれいだなあと思ったら
やっぱりバレエやってたのね。
あれはダンサーじゃないと成立しない狂気だった。

客席下りも結構あって、みなさん走り抜けるスピードが速く
颯爽としててかっこいい。
吉田クローディアスは客席に椅子を置いて
観客と一緒に舞台上の劇中劇を観るのですが、
自分の罪を暴く芝居を観たクローディアスの表情が
どんな風に変わるか観たいのに後ろ姿なので見えず。
ここ残念だった。

ラストの舞台に一人横たわるハムレットもとにかく美しく、
これからどんどんシェイクスピア出演するだろうなあ。
満員御礼、カテコはスタオベ拍手喝采☆

ミュージカルオフ会


久しぶりにいつものお仲間3人で
いつものロイホでオフ会。

それぞれが観た作品、
共通で観た作品、
良かったところ、う~んなところ、
理解できなかったところ、
自分で観たものの振り返りとともに
観なかったものの感想も。
王子のお話もいっぱいできます。

ただ全員決して若いと言えない年齢なので
「あれに出てた~ほらほらあの人」「あの役のあの~」
あれとかこれとか作品名も役者さんの名前も
出てこない出てこない。
まあそれも楽しみながらね。

先輩マダムなのでいつも可愛がっていただいてありがたい。

シス・カンパニー『カラカラ天気と五人の紳士』


■日時:5月16日(日)14:00 休憩なし70分
■会場:キャナルシティ劇場
■作:別役実
■演出:加藤拓也
■出演:堤真一 溝端淳平 藤井隆
野間口徹 小手伸也 中谷さとみ 高田聖子

五人の紳士(堤真一・溝端淳平・野間口徹・小手伸也・藤井隆)が
懸賞のハズレくじでもらったという「棺桶」を担いで登場。
これを活かすために誰か一人が死ななければ、という
意味の分からない論理。
その方法をあれこれ考えているうちに
アタリくじの方を当てた女性二人(高田聖子・中谷さとみ)が現れ…。

最近客席の埋まらないキャナルですが、
千秋楽のせいかほぼ埋まってました。
キャストも豪華だしね。

別役実さんといえば不条理劇。
以前、KERAでも江本明でもみたことがあります。
おそらくこの分野での金字塔。

の通りに前半は全くくだらない寸劇が続きます。
それも立派な役者さんたちが真面目にやるから
さらに面白い。

そして現れた女性二人の
アタリくじの賞品というのは青酸カリ。

棺桶はあっても入る人のいない5人の紳士と
青酸カリがあってもカラカラ天気で飲む水のない2人の女性。
そのうち女性たちは走り去り、地下鉄に飛び込んで思いを遂げたらしい。

5人の紳士は、自分たちがああだこうだ言うばかりで
何も成し遂げてないことに嫌気がさす。

そうしていても、雨がふる気配はなく、
自ら動かなくてもこのまま死んでいくのだろう
という苦い予測で終わる。

笑いと不穏がずっとあって
理解も不十分。
でも結論として面白かった。