Category Archives: ミュージカル・お芝居

舞台『尺には尺を』


■日時:2023年11月16日 13:00
第1幕95分 休憩20分 第2幕60分
■会場:新国立劇場
■演出:鵜山 仁
■出演:
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 ソニン 立川三貴
吉村 直 木下浩之 那須佐代子 勝部演之 小長谷勝彦
下総源太朗 藤木久美子 川辺邦弘 亀田佳明
永田江里 内藤裕志 須藤瑞己 福士永大 宮津侑生

シェイクスピア、ダークコメディ交互上演
ソニン出演だし、魅力的なので両方見ることにしました。

まずマチネは「尺には尺を」

英文科なのに読んだことありません。
シェイクスピアはよくわからない喩えが多いし大丈夫かなあ。

全く問題なし。
とてもわかりやすくて面白かった☆
何よりソニンの素晴らしさよ。

★Story
ウィーンの公爵は信頼している部下アンジェロに統治を託して旅に出る。
超真面目でお堅いアンジェロが任を受けてまず
姦淫罪によりクローディオに死刑を命じると
その美しい妹イザベラが命乞いにやってくる。
アンジェロはあろうことか「自分に体を許せば兄の命は助ける」と提案する。

なんじゃそれ?

真面目ということになっているアンジェロのクズ男さは4つ
・かつて婚約者マリアナを意味なく捨てた
・「体を許せば」などという女性蔑視のパワハラ
・マリアナにすりかわっていたとはいえ彼の要求に応じたのに
兄クローディオの死刑を取り下げなかった。
・「告発する」と言われて「誰がそれを信じる?」と権力によるパワハラ。

どこが真面目なのかさっぱりわからない。

で、兄クローディオは姦淫材と言っても不倫ではなく
単に結婚前の恋人だったというだけなので死刑はひどいのだけど、
妹イザベラの「アンジェロがひどい提案をしてきたの。
操を捨てなくていいよね?(お兄さん堪忍してね)」
への返事が
「それくらい仕方ないじゃないか」ってのは何なんだ?

そしてラスト、旅に出たと言っていた侯爵は
実はウィーンにとどまってアンジェロの動向を見ていて
水戸黄門のように正体を明かすわけだが、
そこで終わりではなく、
イザベラの美しさに心奪われ
イザベラの意思を確認することなく
結婚しよう!と手をひいて幕が下りる。

登場する男性陣アンジェロ、クローディオ、公爵の3人ともがクズ男。

なんじゃそれ?

こういうとこがダークコメディということなのか。

全てに冴えわたっていたのがソニンの演技で、
尼僧見習いのイザベラは清楚に現れて命乞いをし、
思いもよらぬ提案には強く抗い、
同意してくれると思っていた兄からは
操を捨ててくれと言われてあきれ果て、
便りにしていた公爵に突然求婚されてびっくり。
状況と感情の起伏が甚だしい。

地位も名誉もある公爵に見初められたのだから
めでたしめでたし
っていう解釈もあるんじゃないかと思うけど、
今回は、公爵に連れて行かれながら
イザベラは何度も客席を振り返って
「これってどういうこと?」っていう表情を向ける。
観客もそう思ってるから「そうよね、これっておかしいよね」
とイザベラに同調・同意する。

ここ、とっても面白かった。
台詞が全て理解できたし、
コメディっていいなあと思った。

ミュージカルオフ会@イルパラッツォ


観劇、クラッシック、アート
メッセージで近況報告しあうミュー友さんと
ホテル イル・パラッツォのラウンジ「EL DORADO」
でオフ会。

イル・パラッツォってsasaが新卒のバブリー時代に
華々しくオープンし、
画期的な外観で話題を集めたホテルで
当時一度だけ行ったことがあります。
その後、衰退していたのですが、最近大リニューアル。
素晴らしいという情報をネットで見ましてね。

期待の高まる入口を通り

地下に降りてまず先に会計を済ませ
奥に進むとこんな感じ。

sasaたちはアフタヌーンティーの時間に予約したのですが
お食事もできて

スイーツも満載☆

ホテルなのでさすがのお味なのです。

これで1900円って素晴らしい!
※時間は2時間限定です。

美味しい味に
最近だとスリルミーの話、ちょっと前のムーラン、
チケット代の高騰、これからの観劇予定…などなど
楽しくお喋りしました。

#イル・パラッツォ #EL DORADO #fukuoka #ビュッフェ #アフタヌーンティー

ケムリ研究室no.3「眠くなっちゃった」


■2023年10月22日(土)12:30 
1幕1時間50分 休憩15分 2幕1時間20分
■会場:北九州芸術劇場 L列
■出演:緒川たまき、北村有起哉、音尾琢真、奈緒、水野美紀
近藤公園、松永玲子、福田転球、平田敦子、永田崇人
小野寺修二、斉藤悠、藤田桃子、依田朋子/
山内圭哉、野間口徹、犬山イヌコ、篠井英介、木野花

大好きな緒川さんとケラが主宰するユニット作品。
互いに尊敬し感謝しながら共に歩んでいる
憧れのご夫妻です。

が、今回はなんともわからなかったし、
セクシャルな表現が多かったし
笑いは封印され、痛みと苦みが残る。

近未来の管理統制された世界、
ロボットの夫、記憶を吸い取る音楽家、
不気味な人たちが次々登場。
あまりにわからなかったのでパンフレットを買うと
以前、王子で見た「1984」に影響を受けたらしい。

ケムリ「研究室」というくらいだから
通常のナイロンではしないような
様々な実験や試みをするユニットなのでしょう。

テーマを受け取れない中、
終わって記憶に残るのは
北村有起哉さんかっこいい。
罪を犯し、ノーラ(緒川)を監察する立場にありながら
次第に惹かれてしまい、職務を放り出して一緒に逃げる。
ずっと眠れないと言っていたノーラが、最後に
「眠くなっちゃった」と少しだけ安らげたのが救いかな。

カテコではケラが登場してくれましたよ。

ヨーロッパ企画「切り裂かないけど攫いはするジャック」


■2023年10月14日(土)13:00 2時間休憩なし
■会場:キャナルシティ劇場
■出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅
土佐和成 中川晴樹 永野宗典 藤谷理子 /
金丸慎太郎 早織 藤松祥子 内田倭史 岡嶋秀昭

大好きなヨーロッパ企画。
古いロンドンの街並みのセットが魅力的で
そこにちょこりんと現れる永野オルソップ警部は
いつものように愛らしい。

事件を調べるために町の人に話を聞くのだけど、
みんな素人探偵気どりで自分勝手な推理を始める。
いやいや、推理が聞きたいのではなくて
事実が知りたいだけなんだ
と何度言ってもみんな暴走気味。
それに振り回される永野さんがいかにもコメディで好きだった。
藤谷さんのもっともらしく滑舌のよい推理を述べる夫人も
なんとも滑稽でよい。

舞台上には登場人物ほとんど全員がいるから雑踏感がある。
そこから一人ずつ、腰の曲がった老人(実は怪力)
が家の中に攫っていき、人が減っていく。

これが人攫いのようだけど、
実はもっと危険な目に遭わないように匿っていた
ような話になり、
そこから切り裂きジャックとか危険はジャックの名前がたくさん挙げられ、
結局、それが何なんだ、というのがわからないまま終わってしまった。

前半面白かったのになあ。
なんかいろいろあり過ぎて煙に巻かれてしまった。

ミュージカル『スリル・ミー』


■日時:2023年10月11日(火)19:00 休憩なしの100分
■会場:キャナルシティ劇場 K列サイドブロック
■出演:尾上松也、廣瀬友祐

噂には聞いていたこの作品、遂に見ることができました。
福岡に来たのは2組で
大人チームにしてみました。

「私」(尾上)が「彼」(廣瀬)のことが好きすぎて
気に入ってもらおうとなんでも言いなり。
「彼」はサイコパスで、最初は放火くらいだったのが
物足りなくなり殺人へ。
その理由はただ「スリルを味わうため」。
「彼」の方は「私」を好きというより
「私」を振り回すことが好き。
それに快感を覚えている。
冷たくすれば嫉妬にかられ、キスすれば舞い上がる
「私」の様子を楽しむ。

「私」は「彼」を誰にもとられたくない、
なんとかして自分の方を振り向かせたい
だから、そのためならどんなことでもする。

35年前の事件で無期刑になった「私」が
釈放のための審問を受ける
という設定でお話は始まります。
暗転のたびに、審問中の今になったり、
35年前になったり。

この時間の行ったり来たりと
ふりまわす「彼」と
ふりまわされる「私」
で、100分間観客も右に左に揺すぶられ
ずっと緊張が続く。

殺人の犯行現場に眼鏡を落としてきた
と、犯行が発覚することを恐れる「私」。
その恐れを「彼」に語るうちに
「彼」と「私」が共犯者であることで
一体感が深まってくる。
このあたりから、あーこれは「私」の術中にはまったな
ということが分かり始めてきた。

そして、その通り、全ては一緒に投獄されるため
ずっと一緒にいるための
「私」の策略だった。
最後に勝ったのは「私」。

あんなに強気で上位にいた「彼」は
すっかり強さを失い、
牢獄の中で消えていく。

結果、「私」も「彼」も幸せにはなれなかった。

とても面白かった。
二人だけのやりとりで魅せる舞台。
過去でいれば、松下×カッキーペアが伝説だけど、
成河×福士も見たかったなあ。

ペアを変えて何度でも観たくなる。
なんてうまくできた作品なのでしょう。

けど、福岡公演は席が全然埋まってなくて、
地方はこんなだからなかなか来てもらえないのかなあ。
福岡ってがんばってるつもりだけど、
まだまだだなあ。
発売から少し経っての購入だったのに
そこそこいい席があっさり取れたし。

この日はトークショーもありまして、
松也さんが言うには
「廣瀬くんの『彼』の威圧感がすごい。
どうやってぶち破るか」

確かに鋼鉄のような存在感でした。
美形でプリンスっぽいのに、
あんなに強くて冷徹なキャラがあうとは思ってなかった。

トーク自体は松也さんの方が慣れてるから
廣瀬さんはいろいろ振られても反応薄かったのですが、
実はポツリと話すことが無茶苦茶面白い。

鋼の「彼」とのギャップがすごくて魅力的でした。

他のペアでもぜひ観たい。