Category Archives: 映画・dvd

DVD『アフタースクール』

なんとこれも二回目だったのだ。

内田けんじ監督作品は『鍵泥棒のメソッド』が大好きだったので、
これを観てないはずはなかったのに、これまたすっかり忘れていた。

お話の展開としては、伊坂幸太郎に似たイメージだと思う。
ただ、内田作品は、観客をもだます。
すっかりだまされる。

プロットが複雑すぎてよくわからなくなるから
2回目だったにもかかわらず、2回観た。

これはストーリーの展開もだけど、
大泉洋、堺雅人、佐々木蔵之介、この3人の魅力が素晴らしい。

堺雅人さんの飄々と呑気なようでいて周到に作戦を練る、
佐々木さんの人を信じられない悪人でいて、結局罠にはまる。

が、なんといっても大泉洋。
抜けてるようでいて、最終的にカッコよすぎ。
結局同じシーンで泣けた。

内田作品はあと一つ『運命じゃない人』を見なくては!

DVD『ミッドナイト・イン・パリ』

はいはい、これも気づかずに2回目レンタル。
見始めてから、???とデジャブが起こり、観たことだけは思い出すけど、
内容は全く覚えてないという、損したというか、2回も楽しめてお得というか。

パリを愛する主人公ギルが不思議なタクシーに誘われて
昔の作家や作曲家、画家の集うクラブに行く。
作家を目指すギルには憧れの時代と文化人たち。
さらには、ピカソの美しい愛人アドリアナもいて、
結構いい感じの仲になる。

そもそも、ギルは婚約者イネスをパリ旅行に来たのだけど、
パリへの価値観から合わない。
そのズレがどんどん広がっていく。

このまま結婚してうまくいくのかなあ。
イネスの両親ともあいそうにない。

理想と現実、どこまで求めるべきなのか、引き下がるべきなのか。

それにしても、マリオン・コティヤール美しいわ。
あの色っぽさと強さは何なのでしょうね。
ピカソと一緒にいながらギルに惹かれるところはちょっとわからなかった。
天才との緊張感より、凡人の優しさに気が迷ったのかしら。
ギルの服装の野暮ったさがかなり酷くて、
これにも意図があると思うのだけど
どうしてかしら?

結局、突っ走る芸術家肌のアドリアナに最後までついていくことはできなくて、
現実に立ち返るギル。
ここがやはり凡人の限界なのでしょう。

そして、イネスとの関係は白紙に戻したところで
ポーターという共通の接点のある女性と
身の丈にあった小さな幸せを得てめでたしめでたし。

その決断をしたのはギル自身で、結局のところ、どう生きるかは自分で決めるしかない。

DVD『モネゲーム』

続いて観ましたこちらのコリン作品。
見始めて気づいた。
これ、観たことある…
が、まったく覚えてないので気を取り直して。

モネの作品をめぐって、横暴な雇い主への詐欺と窃盗を企てる。
世界一スーツの似合う男コリン・ファースですが、
だからこそ、コメディもいいよねえ。

モネ鑑定は自信あるみたいだけど、どうも抜けてて、
詰めが甘いし、ミスも多い。
ダンディな紳士がやると笑いがこみ上げる。

ヒロイン役はキャメロン・ディアス。
う~ん、いかにもアメリカンで好きじゃないのよねえ
と思いつつ、見てたら、これが
これでもかというカウボーイスタイルのヤンキー娘なのに、
ここまで弾けられると好印象。

紳士コリンとのバランスも何故かイケてます。

雇い主役アラン・リックマンの傲慢ぶりも可愛らしい。

DVD『シングルマン』

尊敬するブロガーさんがコリン祭りをやってらっしゃって、
sasaもやけにコリンが観たくなった。

全く予習無しで見たら、
お話としては、結構ショッキングな内容。
同性愛のお話です。

監督トム・フォード自体が27年間連れ添った恋人と
同性婚を果たしているらしい。

愛する恋人ジムを亡くした大学教授のジョージ(コリン)
傷心のまま無力な日々を送っている。
空虚…生きている気力も意味もない。
朝起きると、また一日が始まる。それさえ辛い。
着替えてなんとかジョージの人格を被り、ルーティンをこなす。

でも気持ちは確実に恋人の元へ向かっており、静かに準備が進められる。
「ネクタイはウィンザーノットで」の遺書も遺して。

とはいえ、一度は愛そうとした女性チャーリーとは
今は心許せる親友で、今の唯一の心の拠り所。
この役がジュリアン・ムーアであることが救われる。

いよいよという時に彼を慕う学生ケニーが、
危険を察知して近づき、救おうとするのだが、結末は意外にも…。

ジョージのスーツ姿はもちろん、住む家も、ケニーのカジュアルニットも
映像も全て繊細で美しい。
ジムとの思い出シーンはバラ色だけど、
今の虚しい現実シーンはグレートーンで描かれる。

そして、台詞の絡みも多いので、2回繰り返して見た。

「怖いものは?」
「車」

「週末はどうしてる?」
「ごく静かにしてる」

静かに美しく佇む映画です。

DVD『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』

アカデミー賞受賞だったから、ずっと見たかったのです。

なんか不思議なお話でした。
現実と妄想が交錯するので、酔ったみたいになります。

かつて人気のキャラクター役者だったという主人公リーガンが
再起をかけて舞台を演出と主演。
共演者の実力に脅かされたり、アシスタントの娘と喧嘩したり、
バードマンが現れて、影の声で囁く。
批評家の声も気がかり。

映画VS舞台、ハリウッドVSブロードウェー、アメリカVSイギリス
たくさんの対立が埋め込まれているようですが、
日本人にはそこまで理解できないかも。

キャラクター役者だったというリーガン役が
バットマンのマイケル・キートンというのはツボです。

テンポが良くて、音楽がスリリングで、カメラワークが鋭い。
訳わからないところも多分にありましたが、
とても刺激的で、面白かった。

ラストの解釈は意見が分かれることろでしょうね。
リーガンにとっては良かったのだと思いたいけど。