Category Archives: ミュージカル・お芝居

予習


遠征に向けて映画版で予習。

以前観たことはあるのだけど、
ストーリーすっかり忘れてたよ。

この作品のためのオリジナル曲というのはなくて
これまでのヒット曲のメドレーなのね。

そしてメインとなるのが、sasaの大好きな「Your song」。

去年の秋のNHK「ミュージカルTV」で王子が歌ってくれて
無邪気に喜んでたsasaですが、
この作品の伏線だったのね。

ちょっと気になるのは、今やトップもトップのベテラン役者である王子が
「駆け出し作家」になれるのか?
イメージ的には今駆け上がり中の甲斐君の方があってるのかも?
なんて心配してしまうのであった。

ミュージカル『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』

■日時:2023年6月24日(土曜)12:30
1幕85分 休憩20分 2幕75分
■会場:キャナルシティ劇場 G列サイド
■出演:柚希礼音、ソニン、
実咲凜音、清水くるみ、平野綾、水田航生、
寺西拓人、松原凜子、谷口ゆうな、能條愛未、
原田優一、戸井勝海、春風ひとみ 他

簡単に言えば、
工場で働くファクトリーガールたちが
労働環境や女性の平等を求めて闘うお話。

こういう話の場合、
これまでだったらソニンは権力に立ち向かう役柄だけど
今回はそのリーダーは柚希さんの方で、
ソニンは最初はその先導役だったはずなのに、
次第に権力側になっていく。
いつもジャンヌダルクのように旗振り役だったので不思議。
ソニンもそういうお歳になってきたのね。

ストーリーは簡単なんだけど
ちょっとこのテーマは古いかなあと思ってしまった。
いや、今も全く解決したわけじゃないけど
女性解放!とか労働条件改善!
とかをテーマにするのは手垢がつき過ぎてる気がして。

曲は知らなくて1回聴いただけで好きになれる曲はなかった。
それと柚希礼音さんはかっこいいとは思うのですが
もともとヅカファンではないし、ハスキーな声もちょっと苦手。
歌もソニンの方がずっと上手だと思う。

ソニンは苦悩の表情が多くて
相手のひとことひとことに繊細に表情を変える。
やっぱり役作りにも根性があって、いいなあソニン。
この作品の収穫はソニンが観られたことに尽きる。

そして、原田くんが陰険な工場長ってのが笑った。
これまでいい人系が多かったよね。
原田くんもそういうお歳になったのか。
それと、最近、嫌みな役⇒お姉系が多いよね。
この通り一遍な変換は辞めた方がいいと思うなあ。

あと、主役もいける平野綾ちゃんがあのくらいの役でいいのかな。
女工仲間の少しだけ目立つ扱いといったところでしたからね。

などブツブツ…
結果、面白さはフツーといったところでした。

ソニンの『シングルベッド』

ソニンがNHK『うたコン』に登場。
カラオケというテーマの回です。

ソニンは師匠であるつんくさんの『シングルベッド』を熱唱。
これ、20周年ライブでも生で聴いたものですが、
音程は確かなのだけど
ソニンの思い入れが強すぎて、ちょっと芝居がかってしまった。

やっぱりつんくは上手だよね。
厭らしさも持ちながら、軽く力を抜くバランスも見事だったなあと
改めて思う。

ソニン、『ファクトリーガールズ』に期待しましょ。

舞台「アンナ・カレーニナ」


■日時:2023年3月17日(金)13:00
1幕100分 休憩20分 2幕105分 計3時間45分
■会場:シアターコクーン
■出演:
宮沢りえ、浅香航大、渡邊圭祐、土居志央梨、西尾まり、
菅原永二、深見由真、金子岳憲、井上夏葉、高間智子、
片岡正二郎、真那胡敬二、大空ゆうひ、梅沢昌代、
梶原善、小日向文世

トルストイの有名な作品ですが読んだことなし。
宮沢りえちゃん目当てです。

主役はもちろんアンナ(宮沢)で、
夫カレーニン(小日向)がいるのに、若き青年将校ヴロンスキー伯爵(渡邊)に惹かれ
夫も子どもも捨てる。
これでハッピーというわけではなくて、
初めての本物の恋のヴロンスキーは自分より若くてモテ男。
あまりに愛しすぎるがゆえに、浮気してるのではないかと
気が狂いそうなほどの嫉妬と疑心暗鬼。
ヴロンスキーはアンナの勝手な妄想で責め立てられて、手のつけようがない。

原作はきっとここが本論だと思われるのですが、
今回の演出では、他の2組のカップルの話が並行して進む。
浮気ばかりのアンナの兄オブロンスキー(梶原)とその妻ドリー(大空)。
浮気はやめると言いながら辞める気なんてさらさらなくて
ドリーは離婚したくても経済力がない。

もう一組は、ヴロンスキーに夢中だったけど振られ、
ずっと好きでいてくれたリョーヴィン(浅香)を受け入れ
田舎での地道な暮らしを歩むキティ(土居)のカップル。

自分の気持ちに忠実に、全て捨ててでも愛に突き進むアンナ。
そんなアンナを否定しつつも、自由な生き方に憧れるドリー。
ヴロンスキーを取られて一度はどん底に沈みながら
田舎で静かな幸せを手に入れるキティ。

みんな幸せになりたいともがくけど、
一体なにが幸せなのだろう?
幸せは人それぞれだと思ったり、
でも他人の方が幸せに見えたり。

宮沢えりちゃんのあまりの熱演に押されながら
誰が幸せなのかなあ、自分ならどうがいいかなあ
なんて考えるのでした。

宮沢えりちゃんは舞台役者さんですな。
少し大げさでうざいほどの気迫。
残念ながらヴロンスキーの渡邊さんに
アンナがあそこまで陶酔するほどの説得力がなかった。
アンナを受け止められる度量が欲しかったなあ。

こんな重厚な作品観劇に際し、
sasaはとんでもないミスを犯しました。
舞台といえば長くても3時間。
ナイロンなら警戒してたかもしれないけど、
まあ3時間半あれば十分でしょって。
それが3時間45分。
最後まで観てたら飛行機間に合わない。

ので泣く泣く、大事な最後の15分前に退席したのです。
前を遮ることになるのでお隣の方には事情を話しておきました。
他からは「ここで帰るって正気?」って思われたことでしょう。

ということで大事なラストを観ていないのです。
ネットによるとどうも最後の一言がとても大事だったらしい。

遠征だとこういうことになる。
こんな失敗は二度としないぞ。

ミュージカル『ジェーン・エア』


■日時:2023年3月16日(木)18:00
1幕70分、休憩20分、2幕75分
■会場:東京芸術劇場プレイハウス K列サイド
■出演:

上白石萌音:ジェーン・エア
屋比久知奈:ヘレン・バーンズ
井上芳雄:エドワード・フェアファックス・ロチェスター
春野寿美礼:ミセス・リード/レディ・イングラム
仙名彩世:ジェーンの母/ソフィ/ブランチ・イングラム
樹里咲穂:ミス・スキャチャード/ベッシィ
折井理子:アボット/グレース・プール
水野貴以:アグネス/リア/メアリー・イングラム
中井智彦:ジェーンの父/トーマス/シンジュン・リヴァーズ
萬谷法英:ブロックルハースト/ロバート
神田恭兵:ジョン・リード/イングラム卿/牧師
江崎里紗、犬飼直紀、岡田悠李、萩沢結夢、三木美怜
大澄賢也:リチャード・メイスン
春風ひとみ:ミセス・フェアファック

RENTは感動したし、ナイロン@スズナリは堪能できた。

が、ここで王子の第一声を聴いた時点で
「あ~やられた」
王子の包み込むような歌声。
いつもお話の世界に包み込んでくれると思ってたんだけど、
いや、王子の歌は「読み聞かせ」なのだと思った。
観客に歌いながら話してくれているのだ。
伝えようという気持ちが最前線にある。
だからわかりやすくて心に響く。

レベチでございます。

萌音ちゃんとは年齢差も身長差もあるから
守ってやりたいと思うでしょうし。

ごめんなさいね、前回の橋本さとしさんの時は
(松たか子さんは大好きだったけど)
こんなにも感動しなかったよ。

暗い陰鬱な曲も
讃美歌のような曲も、こんなに名曲揃いだったとは…

屋比久ヘレンもベッドに横たわったまま歌うのに
声が響くし音程完璧。
ますます上手になったのでは?

と、大感動。
実はこの日もRENTに行く予定だったのだけど、
おけぴでチケット発見したものだから
危険を冒してチケットチェンジしたのだよ。
その甲斐あった。
そもそも、この遠征はジェーンのために計画したのに
肝心のチケットが取れず他で穴埋めしていたので
ギリギリの大逆転!
行けるものなら明日も行きたい!ほど素晴らしかった。

が、少し経ってよく考えてるとね、
このお話これでよいのかしら?という気になってきた。

2012年に博多座で観劇した時に
後ろにいた修学旅行の男子高校生が言った
「でもこれってあの奥さんが一番可哀そうじゃね?」
がずっと気になっている。

ロチェスターの正妻であるバーサが悪者で
彼女の策略にはまって結婚させられて、
邪悪な性格の上に精神病で発狂したので
隠れ部屋に閉じ込めた
というのがロチェスターの言い分。

バーサが好みの美人だったから好きになり
結婚するのを決めたのは自分だし、
精神病は本人の責任じゃないよね。
それを入院させずに閉じ込めたのは世間体?
そして何より重婚をしようとしたのはどうなの?

結果、奥さんが死んで幸せになってめでたしめでたし。

う~ん、いいのか?

王子が演じてるので、ロチェスター側は善人で被害者、
悪いのはバーサ、重婚も仕方ない
みたいになっていて
「赦し」がテーマであるけど、ロチェスターの行いは赦されるのかしら?
信仰がないからモヤモヤしてしまうのかもしれないけど、
宗教は自由だし、信者限定の作品ではないはずだし
ここでは素直に思ったことを留めておきます。

いやいや、もちろん文句を言っているのではなく、
イギリスのどんより天気のような陰鬱さが続く中、
ラストは靄が晴れて、明るく清々しいステージとなり、
ジェーンとロチェスターの寄り添うシーンは
本当に至福感に満たされた。

神田くんが意地悪ジョンほかであちこち登場したり、
折井さんと中井さんの歌はさすがだなあと思ったり
賢也さんがメイスンって勿体ないわあと思ったり。

そして、結論としては、こんなに感動させてくれたのは
ひとえに王子の力だということも確信した。
王子×萌音ちゃん×ジョン・ケアードの盤石のチームで作り上げる世界。
上質な作品です。