Category Archives: ミュージカル・お芝居

ミュージカル『ジキル&ハイド』


■日時:2023年3月16日(木)13:00
1幕85分 休憩25分 2幕65分
■会場:東京国際フォーラム ホールC 14列サイド
■出演:
ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド:柿澤勇人
ルーシー・ハリス:笹本玲奈
エマ・カルー:Dream Ami
ジョン・アターソン:上川一哉
サイモン・ストライド:畠中 洋
執事 プール:佐藤 誓
ダンヴァース・カルー卿:栗原英雄
宮川 浩 川口竜也 伊藤俊彦 松之木天辺 塩田朋子
麻田キョウヤ 岡 施孜 上條 駿 川島大典
彩橋みゆ 真記子 町屋美咲 松永トモカ 三木麻衣子 玲実くれあ
川口大地 舩山智香子

子どもの頃は本好きでしたので
このお話も読んでいて結構好きだった。
キワモノのイメージでしたが、
名作とされているからにはちゃんと説得力のあるストーリーがありまして、
ジキル博士は決して悪者を創造したかったわけではなく、
人間の善と悪をしっかり分けられれば、悪の方だけを切り捨てることができ
善のみにすることができるという仮説のもとに研究を重ね、
その薬を生み出す。

人体実験で試したかったけど、そこはなぜか周囲は良識があって反対され、
娼婦ルーシーの「私を試せば」→「自分で試す」に着想を得て
自分で人体実験をし、悪のハイド氏を生み出す。

でもね、人には善も悪も一緒に存在し、
同じ人なのだから片方だけを切り離すことはできない。
ハイドを滅ぼすとはジキル本人を滅ぼすこと。

つまりは二重人格となり、
片方ずつの人格が現れるので、
ジキルはハイドの悪事は知らないし、
いつハイドが現れるのかもわからない。

カッキーの
ジキルハイドジキルハイドの入れ替わりが見どころですね。
観てるほうも、今はジキルのカッキーなのか
ハイドのカッキーなのか見極めるのが忙しい。

音楽はフランク・ワイルドホーンですので、
音程が上下左右して難しい。

そんな難しい曲を、婚約者エマ役のDream Amiさんは完璧に歌っていました。
笹本玲奈ちゃんは珍しく娼婦役で、
むっちりした身体はお色気あるんだけど、
基本的にお姫様系だから
汚れ感がないのよねえ。

再演されるから人気公演なのだろうけど、
sasaはあまり感情移入できず、
リピはないかなあ。

ほんとは終演後、カッキートークショーの回でしたので
お話聞いてもう少し深掘りしたいところではありましたが
次を急ぐので後ろ髪ひかれながら退散。

ナイロン100℃ 48th SESSION「Don’t freak out」


■日時:2023年3月15日(水)19:00 2時間20分休憩なし
■会場:下北沢ザ・スズナリ
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
■出演:
松永玲子 村岡希美/
みのすけ 安澤千草 新谷真弓 廣川三憲 藤田秀世
吉増裕士 小園茉奈 大石将弘/
松本まりか 尾上寛之 岩谷健司 入江雅人

噂には聞いたことあるけどスズナリという劇場初です。
アパートみたいな細い鉄の階段を上り、
中に入るともうギュウギュウ。
前席との間は膝で埋まっていて通り過ぎるのもやっと。
パイプ椅子に体操座りしてる感じ。
2時間20分休憩なしと言われたけど、
一度着席すると、もう引き返すことはできない。
「間隔を空けて」なんて言葉は無意味で「密」とはこういうことです。

さて本題のお芝居ですが、面白かった~
そして、マチネで『レント』とクリエの相性を感じたように、
これもこの劇場ならではというお芝居。
KERAの「劇場と作品のマッチングは大切」という言葉通りでした。

松永玲子・村岡希美の女中姉妹が
ご主人様家族に仕えているわけですが、
実は精神病ということになっているご主人様を
井戸の下の地下室に匿っていて、
ずっと地下にいると思っていたご主人様は実は抜け道から夜抜け出し
近所の女性たちを強姦してまわっていて…
ナイロンがこんな性的な描写をするのは初めてみました。
やはりスズナリという劇場のせいかも。

そうこうするうちに1人、2人とご主人家族は消えていき、
最後に残って笑うのは女中姉妹でした。
おしまい、みたいな。
全員が白塗りメイクなのでお化け屋敷のようなのです。

内容としてはグロテスクなのですが、
ナイロン劇団員のみなさまは
せりふ回しがどう鍛えられたのか何なのか、
イントネーションと間で面白ろおかしいのです。
みのすけさんの素っ頓狂な高音も健在。

客演の松本まりかさんは初見でしたが、
あざとさ感満載のお嬢様が
実は手玉に取っていたつもりの婚約者から熱湯をかけられ、
目を開けるのもやっとの包帯顔で服従の身となります。
前半調子にのってるだけに、
後半のあきらめきった姿がなんとも哀れ。

昔々のとても古いお屋敷の設定ですが、
ナイロンお得意のプロジェクションマッピングも
違和感なく取り入れられています。

罪を犯したり調子に乗り過ぎた人たちは自業自得の罰を受け
正直者の(いや決してそういうわけでもないけど)女中姉妹が
最後に笑った。

この劇場でナイロンのきっと根っこのようなものを観られたのは貴重。

ミュージカル『RENT』


■日時:2023年3月15日(水)13:30
    1幕80分、休憩25分、2幕60分
■会場:シアタークリエ 最後列補助席
■出演:
花村想太、甲斐翔真、遥海、SUNHEE、RIOSKE、
鈴木瑛美子、塚本直、吉田広大 他

花村マーク狙いで久しぶりにレント。
ソニンミミの時号泣するほど感動した大好きな作品です。
その時は福士誠治マーク、次が賀来賢人マーク。

花村くんは歌もダンスも文句なく、
問題はこの作品は群像劇だから、
マークだけか主役ってわけじゃないところ。
ジャージーのように花村くんの高音を堪能!とはいきません。
声のハリはあるしダンスはキレッキレ。
ボヘミアンのダンスもこれまで観たマークの中で一番!
さりげなくロボットダンスもキマッてます。

そして予想以上によかったのが甲斐ロジャー。
ロッカーでワルっぽさが魅力のロジャーは
背も高く体型もしっかりした甲斐くんにぴったり。
甲斐くんはもどかしい自分にイラつきながらも
歌は正確で、動きも適格。
ムーランで王子とダブルキャストになるのも納得。
ベテランから一人、若手から一人
ってのも面白い競演になりそうですね。
王子は王子様キャラ、悶々と悩ませたら天下一品ですが、
不良系が合うとは言えない。
本人が言う通り、品が隠せない。
両方似合う甲斐くん、役の幅は広いかもしれません。

一番好きだったのは遥海ミミ。
痩せたモデル体型ではなく、
肉感のあるボリューミーな身体。
その身体で体当たりなダンスで自分を表現し、
ロジャーに向かっていく気迫が凄まじかった。
ソニンはミミを演じる時、身体を絞って臨んでましたが
ショーガールなのでボリューミーでも良かったのにね。

モーリーンも大変な役ですね。
再演を重ねるごとに過激さが増していってます。
前回よりさらにおかしなキャラクターになっていく。
ソニンもよく引き受けたものです。
あのパフォーマンスの意味はいまだによくわからないけれど
強い抗議と主張があることは確かなので
後日調べてみたいと思っています。

レントって若手の登竜門的作品で、
キャストさんたちは、
ここで勝負して上にあがっていこうという気迫に満ちている。
そこが、登場人物たちの
レントも払えず、ぎりぎりの生活、ぎりぎりの精神状態
と重なって、熱い舞台になるのだと思う。

さらに、レントにはシアタークリエがぴったり。

以前福岡市民会館というsasaの歳よりも古い
合唱コンクールもピアノ発表会なんでもありのホールで
観たことがあるのだけど、
その時ばかりは感動しなかったの。
後方席が広がってるタイプのホールで音がバラける。
クリエは歌長方形タイプで音も熱量もギュッと凝縮する。

これからもレントはクリエで観たい。

エリザベートオフ会


エリザベートマンスが終わったところで
ミュージカルオフ会開催。
博多座からも近いカフェ、オットーさんです。
ドリンクバー頼むと飲み放題なのが嬉しい。

みなさま、王子ファンではないけれど
この度のトートの素晴らしさには異論なく
sasa満足でございます。
みなさん、推しは違うし、あれこれ見方はありますが、
良いか良くないかについてのご意見はほとんど一致しております。
王子のファンじゃないから古川くんで、
と言っていても、いざ王子トートを観てしまうと
やっぱり違うなあと。

sasaの好きなフランツについても
今回万里生くん、シュガーさん甲乙つけがたかったし、
ルキーニも上山くん、黒羽くん、どっちもよかったねえ。
ムーランルージュのダブルキャストが王子と甲斐くん、
トート対ルドルフってどういうこと?とか
「扉を開けてくれ~♪」の切ないシーンで
実は「扉開いてるやん」なことがあったらしい、とか
棺桶がだんだんチープになってない?とか
エリザが石板を駆け上って滑り落ちるシーンで
しっかり歌いたい愛希エリザはクルッと真正面に向き直して歌う、とか
ananのエリザベート特集のネタバレとか
まあ、いつものように好き放題におしゃべり。

でも、これってここでしか通じない内容で、
普段は誰にも共感、いや話すこと自体ができないんだもの。
たまにはいいでしょ。

博多座『エリザベート』王子の楽

■日時:2023年1月30日(月)17:00
■会場:博多座 3階A列 サブセンター
■出演:愛希れいか、井上芳雄、佐藤隆紀、立石俊樹、
未来優希、涼風真世、上山竜治、原 慎一郎、井伊 巧

ありがたいことに王子の楽に参戦できました。
sasaのマイ楽でもあります。

そして、初めての愛希エリザ。

エリザといえば、花總さんがレジェンドでしたし、
これまで他にいいなあと思う方もいなかったのであんまり期待してませんでした。

が!愛希さん、歌が上手でビックリ!
音程も高音もパーフェクト。
やはりこれは若さでしょうか、歌声にハリがあって
キラキラ輝いてます。
そして噂は聞いてましたが、強い!
表情も最初からものすごい圧を出していて
半ばステージで仁王立ち状態。
歌も強いから「私が踊る時」にはエリザの強さにあわせて
トート閣下も強くなる。
二人あわせてものすごい迫力でしたよ。

古川くんを観たわけではないけど、
やっぱりねえ、王子は立ち姿ひとつ取っても違うのよ。
闇広でルドルフと一緒に歌うわけですが、
ラストでステージ前方の段差があるところに出てくるシーン、
王子は段差に足を立ててポーズを決め堂々たる姿なのに
ルドルフは両足揃えて棒立ちなのです。

遠くからエリザを操るような手の動きも好き。

余裕だよなあ、トートになりきってるし
再演だし、もはや敵なしだろう。
と思ってたけどね、ご挨拶でちょっと、え?って思った。
自分は正月からずっと実家にいて1ヶ月足らずの出演だったけど、
カンパニーのみなさんは、東京大阪から続けて来てるわけで、
その中に入っていくのは、
「今頃来た自分を仲間に入れてくれてありがとう」
の感があったようなのです。
トップの位置にいてもそんなこと思うのね、
こういう気遣いが王子の素晴らしさなんだよなあ。

いやいや、王子だって休憩してたわけはなくて
『しびれ雲』があったでしょ?

そして、全会場通しでやり遂げた古川くんに感謝してました。
大千秋楽が古川トートなのが、んん?って思ってたけど、
作品への貢献度からすると当然かもね、と思った。

さらに、これも思ったけど「古川くんにはあまり会わないけどね」
と言ってたので、お稽古中はともかく、
そんなに親しくはないのかも。

王子の千秋楽ということで小池先生がおみえになっていて
カテコに登場してご挨拶。。
無事に千秋楽まで走って思いも深かったのでしょう。
お話長かった。
正直、同じく楽のシュガーさんや上山さんのご挨拶が聞きたかったな。

でここでまた微妙な雰囲気になったのは、
王子がご挨拶の中で、エリザまたやりたいよね、みたいな話をしてたのを
小池先生が聞きつけていて
「え?またトートやってくれるの?」
王子「いや、やりたいと言ってやれるほど甘くないから」
小池「モーツァルトの時は36歳定年って言ってたから」
みたいなやり取りが。

いやいや、王子トートはこのまま半永久的だと思ってますよ。
とてもハマっているし、これ以上の適任者が現れるとは思えない。
小池先生は王子が降りるかもと思っていて
王子はまた選ばれるかはわからないと思っている。

一般客からすると驚きでした。
私たちは、もちろん次はあると思ってますよ。