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ゴッホと静物画―伝統から革新へ


この詰込みスケジュールの中、
向学のために無理やりこれも詰込んだ真面目なsasa。
仕事で関係がありましてね。

ゴッホにとっての静物画の意味と後進への影響がテーマでした。
静物画というのは、置くものが自由にできるから
構図と色彩の練習には最適な題材。
本来は人物を描きたいので
静物画にはあまり興味がなく、
ましてや花に関心が薄かったゴッホ。

でも習作にはよいし、
マネの絵を見て、同色の筆致だけで描けないか考えたり、
なによりお金のなかったゴッホにとって
売れやすい花の絵というのは生きていくにも必要。
花描き画家たちを羨ましいなあと思っていたのではないかな
と勝手に推測。

そんな必要に迫られて描くうちに構図と色彩はレベルアップし、
「ひまわり」につながっていく。

SOMPO美術館といえば「ひまわり」

解説を読んで初めて気づいたのは
このひまわりって全体ほぼ黄色で描かれてるのね。

「静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、
ゴッホが先人達から何を学び、
それをいかに自らの作品に反映させ、
次世代の画家たちにどのような影響をあたえたか」
という展示の目的が明確に伝わる内容でした。
構成が大事だと実感。

舞台『ねじまき鳥クロニクル』


■日時:2023年11月17日(金)13:30
1幕90分/休憩15分/2幕75分
■会場:東京芸術劇場プレイハウス
■原作:村上春樹
■演出・振付・美術:インバル・ピント
■出演:
<演じる・歌う・踊る>
岡田トオル:成河/渡辺大知
笠原メイ:門脇 麦
綿谷ノボル:首藤康之(Wキャスト)
加納マルタ/クレタ:音 くり寿
赤坂シナモン:松岡広大
岡田クミコ:成田亜佑美
牛河:さとうこうじ
間宮:吹越 満
赤坂ナツメグ:銀粉蝶
<特に踊る>
加賀谷一肇、川合ロン、東海林靖志、鈴木美奈子
藤村港平、皆川まゆむ、陸、渡辺はるか

2020年に観たので2回目観劇。
とはいえ、え?前もこうだったっけ?と思うのは
記憶違いだけではなかったようです。
振り付けも演出も相当変わっているらしい。
役者さんたちがますます思いもよらぬ場所から
ムニョムニョ出てきてウゴメイてヌルりと消えていく。
気持ち悪い、気味悪い。

今回は大貫君キャスト日が取れず首藤さんとなりました。
1シーン見せ場はあるし、ダンサーでないとできない役ではあるのですが、
どうだ~!みたいなシーンがないのが残念。
まあほとんどの演者さんが踊り手さんで
ずっと誰かしら踊ってるんですけどね。

一番変革されてたのは、
前回も驚愕した吹越さんのノモンハン独白。
本を読んで一番恐ろしく辛いあのシーンは
感情のない密やかな声で淡々と語られ、
そこに驚異的な身体能力の吹越さんの表現が加わります。
ここって20分ほどあるらしいんだけど
ずっと緊張感が途切れず、魅了する力がすごい。

これだけたくさんお芝居観てるのに
吹越さん他で拝見したことないのよねえ。
舞台役者さんだと思うけど、テレビが多いのかな。
ご縁があればぜひ。

また来たVIRON@渋谷


前回遠征のムーランで行った「VIRON」。
あまりに気に入ってまたモーニングに行きました。
今回も8:40に到着すると先客は1組。


前回は「タルティーヌ(1650円)」だったけど
食べられなかった分はお持ち帰りもできると知り
今回は「VIRONの朝食(1980円)」に。

運ばれてきただけでワクワクしますよね。

このジャムたちを楽しむにはシンプルなバゲットが一番あいますね。
そして、珈琲には牛乳をたっぷりいただけることが嬉しい。
おひとり様も多く、お席も多めだし、退席を急かされることもないので
ゆっくりできます。

さあ、今日も活動開始!

舞台『終わりよければすべてよし』

■日時:2023年11月16日 18:30
第1幕105分 休憩20分 第2幕80分
■会場:新国立劇場
※以下は「尺尺」と同じなので省略しますね。

マチネの「尺尺」があまりに面白かったので期待しすぎたかな。
こちらは事前に本を予習していて面白そうだと思ったわりに
そこまでパンチはなかった。

というのも尺尺はソニン×岡本がメインだったのが
こちらは中島×浦井がメインだったからかも。
中島朋子さんはシェイクスピア女優さんだと思うけど、
このヘレナがそれほど起伏のある役ではなく、
終始おしとやかで大人しく変化が薄い。
コミカルな要素は少なかった。

で、こちらでは浦井くんが大活躍なのだけど、
ヨボヨボのフランス王(岡本)のインパクトは強すぎた。
すごいなあ、後半まで誰だかわからなかったよ。

セットは両方同じものが使われていて、
客席側の水辺にバートラム浦井がドボンと落ちるシーンも。
このバートラムというのがまたクズ男で、
どうして賢いヘレナがあんなにも恋焦がれるのかわからない。

そしてこちらも「ベッドトリック」と言うらしいが
女性陣の策略でもすり替えがあって
女性が道具のような扱われ方をしている。

最終的にはバートラムも渋々ヘレナと結婚することにして
めでたしめでたしってことで終わるけど、
観客の方は「それでいいのか?」みたいな
モヤっとしたものが残り、
こういうのがダークコメディなのかな。

マチネもソワレも3時間ずつくらいあって
6時間座りっぱなし。
観るだけでも大変なのに、その6時間で
違う役を演じる役者さんって偉大。

舞台『尺には尺を』


■日時:2023年11月16日 13:00
第1幕95分 休憩20分 第2幕60分
■会場:新国立劇場
■演出:鵜山 仁
■出演:
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 ソニン 立川三貴
吉村 直 木下浩之 那須佐代子 勝部演之 小長谷勝彦
下総源太朗 藤木久美子 川辺邦弘 亀田佳明
永田江里 内藤裕志 須藤瑞己 福士永大 宮津侑生

シェイクスピア、ダークコメディ交互上演
ソニン出演だし、魅力的なので両方見ることにしました。

まずマチネは「尺には尺を」

英文科なのに読んだことありません。
シェイクスピアはよくわからない喩えが多いし大丈夫かなあ。

全く問題なし。
とてもわかりやすくて面白かった☆
何よりソニンの素晴らしさよ。

★Story
ウィーンの公爵は信頼している部下アンジェロに統治を託して旅に出る。
超真面目でお堅いアンジェロが任を受けてまず
姦淫罪によりクローディオに死刑を命じると
その美しい妹イザベラが命乞いにやってくる。
アンジェロはあろうことか「自分に体を許せば兄の命は助ける」と提案する。

なんじゃそれ?

真面目ということになっているアンジェロのクズ男さは4つ
・かつて婚約者マリアナを意味なく捨てた
・「体を許せば」などという女性蔑視のパワハラ
・マリアナにすりかわっていたとはいえ彼の要求に応じたのに
兄クローディオの死刑を取り下げなかった。
・「告発する」と言われて「誰がそれを信じる?」と権力によるパワハラ。

どこが真面目なのかさっぱりわからない。

で、兄クローディオは姦淫材と言っても不倫ではなく
単に結婚前の恋人だったというだけなので死刑はひどいのだけど、
妹イザベラの「アンジェロがひどい提案をしてきたの。
操を捨てなくていいよね?(お兄さん堪忍してね)」
への返事が
「それくらい仕方ないじゃないか」ってのは何なんだ?

そしてラスト、旅に出たと言っていた侯爵は
実はウィーンにとどまってアンジェロの動向を見ていて
水戸黄門のように正体を明かすわけだが、
そこで終わりではなく、
イザベラの美しさに心奪われ
イザベラの意思を確認することなく
結婚しよう!と手をひいて幕が下りる。

登場する男性陣アンジェロ、クローディオ、公爵の3人ともがクズ男。

なんじゃそれ?

こういうとこがダークコメディということなのか。

全てに冴えわたっていたのがソニンの演技で、
尼僧見習いのイザベラは清楚に現れて命乞いをし、
思いもよらぬ提案には強く抗い、
同意してくれると思っていた兄からは
操を捨ててくれと言われてあきれ果て、
便りにしていた公爵に突然求婚されてびっくり。
状況と感情の起伏が甚だしい。

地位も名誉もある公爵に見初められたのだから
めでたしめでたし
っていう解釈もあるんじゃないかと思うけど、
今回は、公爵に連れて行かれながら
イザベラは何度も客席を振り返って
「これってどういうこと?」っていう表情を向ける。
観客もそう思ってるから「そうよね、これっておかしいよね」
とイザベラに同調・同意する。

ここ、とっても面白かった。
台詞が全て理解できたし、
コメディっていいなあと思った。