Category Archives: ミュージカル・お芝居

博多座『ミス・サイゴン』マチネ


■日時:2022年10月25日(火)12:00 1幕75分、休憩30分、2幕65分
■会場:博多座 3階A列サイドブロック
■出演:
エンジニア:東山義久
キム:屋比久知奈
クリス:海宝直人
ジョン:上原理生
エレン:松原凜子
トゥイ:神田恭兵
ジジ:則松亜海
有木真太郎、石毛美帆、伊藤広祥、今村洋一、伊宮理恵
植木達也、江崎里紗、大久保徹哉、大津裕哉、大場陽介
岡本華奈、川島大典、小島亜莉沙、小林風花、齋藤信吾
佐々木淳平、島田連矢、鈴木満梨奈、仙名立宗、髙田実那
田中 奏、田村允宏、土倉有貴、早川一矢、春口凌芽
樋口祥久、日向智法、広瀬斗史輝、深堀景介、藤岡義樹
藤田宏樹、古川隼大、松本悠作、萬谷法英、三浦優水香
宮野怜雄奈、村上貴亮、森田茉希、横田剛基、蘆川晶祥

やってきました、ミス・サイゴン。
今日しか行けないので、マチソワします。
どうしても見たいキャストさんをチェックするには今日集中するしかない。

まずは、東山エンジニア。
エンジニアといえば市村さんですので、全く期待してなかったのです。
これがねえ、予想外のすばらしさ。
トートダンサーなのでダンスは上手として、
ロックバンド調ながら声も歌もいいし、色気と厭らしさもある。
そして何よりダンスがキレッキレ。
アメリカンドリームでの群舞も決まってます。
かっこいい。
難はタムの抱っこがあまりに雑で、タムちゃんよく黙ってるなあと感心した。
あとね、2幕での登場の時「お待たせしたな」ってアドリブ入れたんだけど、
ここで客席から拍手が出なかったのが気の毒。
sasa、3階でしたので応援できなかった。
これが市村さんなら間違いなく湧くはずなのに。
きっと歌は駒田さんが上手だし、
やり手の伊礼くんほど派手じゃなく、
印象はやや弱いけど、
ダンスが観劇ポイントのsasaはとても気に入りました☆

初見の屋比久ちゃんキム。
いい意味で幸薄いイメージもあるからキムのイメージにぴったり。
低音がちょっと厳しいかなあと思うけど、
細い高音がとてもきれいです。

海宝クリス、品がよくて美しい。
あれなら本国アメリカでもモテモテだろうに。
キムとのラブラブぶりもいやらしくない。
苦悩っぷりもよい。
高音の声量と響きが素晴らしい。
今回小野田くんが見られないけど、見惚れるクリスです。

エレンはノースリーブが多いのですが、
二の腕が立派でそこばかり見てしまった。

そして神田トゥイ!
狂気がいいよなあ。
もともといずみんの怖いトゥイが大好きだったのですが、
今は神田くんかなあ。
sasaはトゥイとキムのとが壮絶に争うシーンが一番好きなのです。
復縁を迫っていたら、
キムが「もう遅い。私には秘密がある」と言い、
タムが現れ、
トゥイはあまりの驚愕に言葉を失い、倒れこむ。
そしてタムを殺せと歌で迫る。
この時、トゥイが「(タムを)隠せ!人に見せるな」
と言うんだけど、これってキムへの愛だよね。
もともと敵である米兵に身体を売ったことだけでも迫害されるのに
その証拠である青い目と白い肌の子どもを世間が見たら
親子でどんな目に遭うか。
そして、タムを殺そうとするのも、子どもを見捨てて去った米兵への怒りと
今後のキムの幸せを思ってのこと。
タムがいなくなり、キムが自分と結婚すれば必ず幸せにするという思い。
何度も観てるのに、今回初めてそれに気づいたよ。

もう一つ好きなドラゴンダンサーのシーン、
パワーアップしてない?
質も長さもこんなだったっけ?
アンサンブルさんたちも混ざった群舞の後、
ダンサーさんだけのシーンがあり、
アクロバットさんたちが華を添える。
リズムに乗ったダンスもいいけど、
こういう規律正しい拍でピタリピタリ止まる踊りの
美しいこと!

あ~やっぱりいいよな、ミス・サイゴン!

彩の国シェイクスピアシリーズ『ヘンリー八世』

■日時:2022年10月16日(日)12:30
    1幕85分 休憩15分 2幕85分
■会場:北九州芸術劇場 大ホール P列サイド
■演出:吉田鋼太郎
■出演:ヘンリー八世:阿部寛
枢機卿ウルジー:吉田鋼太郎
トマス・クランマー:金子大地
キャサリン:宮本裕子
アン・ブリン:山谷花純
バッキンガム公爵:谷田歩
ノーフォーク公爵:河内大和

大石継太、間宮啓行、廣田高志、工藤俊作、櫻井章喜、
塚本幸男、飯田邦博、二反田雅澄、杉本凌士、水口てつ、
佐々木誠、松本こうせい、大河原啓介、鈴木彰紀、
齋藤慎平、松尾竜兵、石井 咲、古庄美和、山田美波、
坂田周子、沢海陽子、悠木つかさ
演奏:サミエル

6人も妻を変え、邪魔な相手を容赦なく切り捨てるヘンリー八世の物語。
20年連れ添った妻は何もしてないのに離縁され、
国政に貢献した家臣も、謂れのない罪で殺される。

軽く予習したところ、好色だし、残忍だし、身勝手だし
スキャンダラスで問題のあるヘンリー八世なのに、
枢機卿ウルジーの悪だくみにはまっただけで、
本当はいい国王、って設定になってたのよ。
ストーリー自体はシンプルで、最初はウルジーにご執心で
なんでもウルジーの言う通りだったヘンリー八世が、
次第にその本性に気付いて破滅させ、
国政は平和を取り戻し、めでたしめでたし。

ヘンリー八世周辺って実話がまるで物語のようだし、
ブーリン側からの視点にもできるから
面白いテーマなんだろうね。
全ては取り上げられないから、一部に絞ってたのだと思う。

正直なところ、台詞はマイクを使わないからちょっと聞き取りにくい。
蜷川門下の俳優さんが多いので、
吉田さんに似た朗々とした発声が多いけど、
後ろ向きの時とかやはり聞き取れない。

それでも、ずっと尽くしてきた家臣のバッキンガム侯爵と
20年連れ添ってきたのに謂われなく捨てられた妻のキャサリン
の独白シーンが圧巻でした。
男子の産めないキャサリン、叩き割るかのようにお腹を叩く
苦悩の姿が響きます。

吉田さんは悪役だけどなんでもお手の物なので、
しっかりユーモアと笑いも添えていて、
阿部さんは実は出番がそう多くないけど
存在自体が明らかに他者を凌駕した大きな王。
キャサリンの宮本さんは気高く美しかった。
河内さんと谷田さんは声がいいですねえ。

ステージの上部には、チェンバロ風の鍵盤楽器を奏でる奏者。
お顔立ちが外国だし、古き英国の雰囲気を強化してます。

鎌倉殿の13人でも難しい頼家役を演じ、
ドラマにも大活躍の金子大地くんに注目しておりまして
出てこないなあと思ったら、終盤にやっと登場。
カンタベリー大司教トマス・クランマーでした。
こちらも、反クランマー派が策略を巡らしますが、
結果、王が擁護して、地位を固めます。
大御所揃いの中、初々しくも、声量があってよく響きました。

ラストのエリザベス1世の戴冠式で客席全員で旗を振って歓迎します。
カンタベリー大司教とエリザベス、
先日の国葬で説教されていたので結び付けた方も多かったようです。
sasaも含め、観客が英国の皇族の関係とか慣習とかをわかっているわけはなく、
渡された旗を無邪気に振るという単純さに
自分でも呆れましたが、エンタメですからね、
みんなで楽しみましょう。

ここでクランマーが言うのは「ひとつひとつ徳を積みなさい」。
作品のキャッチコピー「不都合な真実はつぶせ」だったヘンリーが
クランマーによって浄化されたのかされなかったのか。

舞台『住所まちがい』


■日時:2022年10月8日(土)14:00 2時間10分
■会場:世田谷パブリックシアター L列
■原作:ルイージ・ルナーリ
■上演台本・演出:白井晃
■出演:仲村トオル 田中哲司 渡辺いっけい 朝海ひかる

※いくらかネタバレございます※

社長(仲村トオル)、警部(渡辺いっけい)、教授(田中哲司)の3名が
同じ部屋に鉢合わせる。
それぞれ別の目的で、違う住所を訪ねてたのに、ここにたどり着いた。
どの住所が正しくて、どの住所が間違いなのかわからない。
名前もナカムラ、ワタナベ、タナカが順繰り入れ替わってるの。

この場所自体も一体なんなんだ?
自分が入って来たドアからしか出られず、
それも大気汚染の警報が鳴って一晩閉じ込められることに。
3人で話しているうちに、それぞれ社会的地位のある人なので
自己主張が強く言い争いになる。

住所も名前もねじれていて
ん?自分たちは本当に生きているのだろうか?
という恐ろしいギモンも湧いてくる。

マリア様のような女性が床から湧いてきて、
社長は清めの塩をまく。
ここでもキリスト教?仏教?

一晩明けて、3人は自分の入ってきた入口から出て行く。

が・・・・・。

役者さんがこの3人ですからね、
とっても面白かった。
コメディに出る仲村トオルさんが好きなのよねえ。
もともと滑舌はそんなによくないからよく詰まる。
渡辺さんは舞台で拝見するのは初めて。
膨大な台詞がスラスラ。
田中さんは以前拝見したのは「浮標」だったので
今回は180℃違う役ですね。

作品自体はコメディです。
実際、客席はずっと笑ってました。
でも、単純なものではなくて、きっとそこにはもっと深いものが…。
それがなんだか怖かった。

ヨーロッパ企画第41回公演「あんなに優しかったゴーレム」

■日時:2022年10月7日(金)19:00
■会場:あうるすぽっと
■作・演出:上田誠 音楽:滝本晃司
■出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 
土佐和成  中川晴樹 永野宗典 西村直子 藤谷理子
金丸慎太郎 亀島一徳

ほんとはトモフのライブに申し込んでたんだけど、
抽選であっさり外れ、
慌てて代わりに取った公演です。
これが大当たり☆

※いくらかネタバレございます※

ある投手の取材が出身地で行われ、
空地の片隅に土でできた大きなゴーレムがいる。
投手は昔、ゴーレムとキャッチボールをした思い出を語りだす。
それは彼にとっては当たり前のこと。
町の人に聞いても、ゴーレムに助けられた、とか
遊んでもらった、とか、育ててもらった女の子がいる、とか。
町の人にとってはゴーレムは普通に存在している。

最初は「何言ってんの?ヤバいよな?」とか言い合ってた取材陣たちも
取材を続けていくうちに
「あれ?なんだか…」となってくる。

ヨーロッパ企画は、面白いなと思ったテーマを取り上げて
作品を見せてくれる。
今回は「集団心理」ですね。

みんなが、ゴーレムは存在した、と言うと、
自分もなんだかそんな気になってくる。
そのうち、自分の中で、それは事実になる。

最初は「そんなバカな」と言ってる取材陣と一緒に話が進むので
なんだかこっちまでモヤモヤして、え?そうなの?みたいになるんだわ。

最後はその投手がゴーレムとキャッチボールをするというので
取材陣は撮影する。
撮影が終わって「確かにキャッチボールやってたな」
・・・・・
「いや、(録画を)もう一回見てみよう」
・・・・・
「もう一回」
・・・・・

真実はいかに?????

ヨーロッパ企画、サイコー☆
今回もゲラゲラずっと笑ってたわ。
そして、町の人がみんなゴーレムがいたと思うなら、
優しいゴーレムとの思い出があるなら、
ゴーレムがいた方が幸せなら、
それでいいじゃん、って思う。
面白くて優しいお話でした。

フィジカルコメディ舞台『ケッチスケッチ』

■日時:2022年9月25日(日)11:30 80分
■会場:東市民センター なみきホール
元が〜まるちょばの赤モヒカン”ケッチ”のソロ舞台。
ずっと昔に宗像の大道芸祭りで観たが〜まるちょば。
スーツケースを使ったパントマイムが衝撃でした。
当時から外国でも活躍していて、
オーストラリアで活動してたけど
コロナで帰国して、今、なんと福岡市に住んでいるらしい。
コロナが落ち着いたらまた海外へ行くそうなので貴重なタイミングでした。

小中学生招待の企画でもあったので、会場は子どもたちが多く、
内容もちょっと子ども向きだったかな?
楽しかったけど、もう少し大人っぽいのが良かった。
正直言えば、小林賢太郎さんのことを思い出し
「うるう」の世界観を懐かしく思う。
あれは、子ども向きのようでありながら
大人の絵本だったんだよなあ。

それでも、台詞がないので、
動きを見て、音を聞いて、想像しながら観る世界は好きです。

カテコでご挨拶があり、
ステージでは台詞なしのケッチがよく喋ること喋ること!
無言のキャラを貫いてもよいのでは?