Category Archives: ミュージカル・お芝居

劇団四季『キャッツ』2階席から


■日時:2022年3月13日(日)13:00
■会場:キャナルシティ劇場 2階B列
■出演:

2階席最前センターというのに憧れてたの。
ダンスが見渡せて絶景なのではないかと。
直前に格安にお譲りいただいて、行ってきました。

2階最前ではなく2列目、センターではなくサイドだったけどね。

お席からの眺めはこんな感じ。

まあね、確かに全体が見渡せます。
が、前回、1階良席で観てしまうとね、
う~ん…となったのが正直なところ。
お安く譲っていただいたので今回はいいとしても、
ここも正規料金は一番高いランクのお席なのですよ。
1階最前列と同じ料金。
この眺めならいつもの2階最後尾のお安いC席でいいかなあって。
お値段3分の1なんですもの。

まあ、そんな文句言ってないで、
この席だからこそ気付いたことを書いておこう。

◆タガーって踊らないのね
その昔は祐様がやったというし、そんなにダンス必要ないだろうとは思ってたけど
今回よく見てたら、タガーは足もまっすぐ上がってないし、
みんなの踊りまくってる時は横で見てて
簡単なところだけ一瞬加わって、
踊ってる風だけど、これだけ踊れる猫の中で
グリザベラの次くらいに踊ってない。

◆オールドデュトロノミーは意外と身軽
いつもずっとゆっくりした動きなのに、
マキャベティに連れ去られる時、
小走りで結構なスピードだった。

◆ディミータとボンバルリーナのセクシーダンス
もともとランペとマンゴの泥棒夫妻のねっとりしたダンスが好きだったんだけど、
アレンジ変わってからどうも…
となると、この二人のマキャベティのダンスが一番好きかな。

◆タントミールとタンブルブルータス
ジェリクル舞踏会の時、ステージの上で圧巻のリフトを披露しますよね。
美しさに惚れ惚れする。
他のシーンでも並んで寝そべってたり、
静かに仲の良いカップル。
歌はないから、ダンス重視の役者さんの役なんだろうなあ。
先日捕まった役者さん、この役だよね、
相当踊れたはずなのに、残念。

◆スキンブルジャンクスって歌が上手
前から思ってたけど、スキンブルって歌が上手だわあ。
声もいい。
鉄道シーンって楽しいうえに、歌も聴かせどころで長いもんね。
シーンをどんどん盛り上げてくる歌声。

いろいろ言いつつ、やはりこの席だからこそ気付けたことがある。

親孝行に劇団四季『キャッツ』

■2022年2月19日(土)19:30
■会場:キャナルシティ劇場 H列センター
■出演:

開演前は自席から撮影OKです。

こんな前の席で観るのはどれだけぶりか。
いつもは2階最後列の常連ですからね。

ぎりぎりにネットで探してこんな良席奮発したのは
母親への誕生日プレゼント。
前から行きたいと言ってて、
1月の誕生日になにも贈ってなかったので、
思い切って、ばたばた手配しました。

これがさあ、やっぱり値段だけのことはあるなあって。
いつもは全体を見渡すことはできるけど、
ステージで起きている細かい技はよく見えてなくて、
はあ~って感心する。
目の前で繰り広げられるスペクタクル☆
って感じ。
夢の世界はあっという間に終わったわ。

ステージ前にはロープが張られてて
猫たちはそこまでしか下りてきてくれないけど、
それでも猫ちゃんたちが近い。
客席もおそらく四季会員のベテランさんたちばかりだから
拍手も手拍子もタイミングばっちり☆
楽しい~

と盛り上がるsasaに対して
母、ぽか~ん。
30年くらい前に1度見て感動したから
また観たいって何度も言ってたのよ。
文句多いけど、こう言うなら満足するかなあと。
マンカスとミストは同じ俳優さんとか言い張るし、
相変わらず薄い知識で間違った主張をしてくる。
奮発したんだけどなあ…。

でも、あれだけ観たいと言ってたのを
連れて行かないとsasaが後悔したと思うのよ。
希望は一つ叶えたぞ。
いつまで元気かもわからないから、行けるうちにね。

ヨーロッパ企画第40回公演「九十九龍城」

■日時:2022年1月30日(土)13:00
■会場:西鉄ホール
■作・演出:上田誠
■音楽:キセル
■出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成
中川晴樹 永野宗典 西村直子 藤谷理子 本多力 /
金丸慎太郎 早織

しばらくぶりのヨーロッパ企画。
今回のテーマは「魔窟」です。
舞台は香港九龍城砦。

sasaの記憶が確かならば、
大学3年の時にちらっと香港に寄ったはずで、
その時、九龍城砦観たような気がするんだよなあ。
廃墟のような、でも人が住んでて
不気味に大きくそびえ立つ建物。

ヨーロッパ企画もずいぶん公演もできず、時間があったのか、
歴史や事実関係を調べてしっかり考えて作られたお話でした。
そこにプロジェクションマッピングの技術と
作りこまれたセットやいい感じの衣装が加わります。

最初は、九龍城砦周辺で爆破事件が起きたので
この中の住人が怪しいとにらみ、
遠隔から監視する刑事2人の声のやりとりで話が進みます。
これが舞台後イベントのコメンタリーみたい。
そのうち、どうしても潜入したくなった一人が
勝手にこの魔窟に乗り込む。

無許可の肉加工、バッタもんの組み立て屋、
スリ目的のダンスホール…
などいかがわしい住人たちばかりの中で、
でもそこには人の営みがあり…

とみていたのですが、
途中からなんだかゲーム用語が出てきて、
「モブ」とか「課金してないからだろ~」とか
ゲーム知識のないsasaはちょっとわからなくなってしまいました。

周りも結構同世代が多いのだけど、
みなさんついていけてたのかなあ。

もともとヨーロッパ企画はSF好きですが、
素養のないsasaは
ちょっと宙に浮いた感じで終わりました。

録画『負傷者16人-SIXTEEN WOUNDED-』


■作:エリアム・クライアム
■演出:宮田慶子
■出演:井上芳雄(マフムード) 益岡徹(ハンス)
東風万智子 粟野史浩 あめくみちこ

今さらながら、やっと10年前の録画を鑑賞。
予想はしてましたが、重たい作品でした。
ユダヤ人とパレスチナ人のお話ですからね、
日本人には理解できない世界でもあります。

けどね、テーマはちゃんとつかんだ気がします。
舞台はずっとパン屋セットのままで、
ナチスやテロの話はその外での出来事として展開します。
人種や宗教の違いで、外では闘いがあっても、
パン屋の中では、ひとりの人と人。
いくらケンカしても真意は伝わるし、
そんなことは関係なく信頼関係や友情は生まれる。

王子が得意の悩める役。
怒りも悩みも、ラストの葛藤もさすがです。
相手は益岡さんなので大船にのってます。
ハンスの最後の説得が果たされなかったこと、
マフムードにはあの道しかなかったのか、
つらい結末となりましたが、素晴らしい作品でした。

博多座『ガラスの動物園』


■日時:2021年1月8日(土)12:00
■会場:博多座 3階 A列サブセンター
■原作:テネシー・ウィリアムズ
■翻訳:小田島雄志
■演出:上村聡史
■出演:
岡田将生[トム・ウィングフィールド]
倉科カナ[ローラ・ウィングフィールド]
竪山隼太[ジム・オコナー]
麻実れい[アマンダ・ウィングフィールド]

なんだか暗そうだし、あんまり期待せずにとったチケットでした。
これがねえ、岡田将生くんのお芝居の上手さにびっくり!

岡田くんを初めてみたのが映画『重力ピエロ』で、
なんて美しい男の子なんだ、
でも演技下手だなあと思ってたのよ。
それからいくつか映画は見たけど印象薄くて、
でもおバカな役とか、嫌な奴とか、
美少年なのに役の幅広いなあとは思っていました。
でもねえ、舞台はまた違うからねえ…

と期待せずに行ったら、
階段の上に立って話し始めたときから
「え?」
台詞がすごくきれい、滑舌いいし、
長台詞なのに分かりやすいの。
テネシーウィリアムズなので、決して今の言葉ではない。
聞くのには結構集中力がいるの。
でもすーっと入ってきます。

もともと好きなお顔No.1ではあったのです。
だって王子と顔似てるよね?
あの系統のお顔が好きなのよ。
でもさ、王子は細身長身で身のこなしは軽やかだけど、
スポーツ好きってわけじゃないから
体幹というか、舞台上にずしっと立ってる感じは薄いよね。
岡田くんはバスケやってただけあって、
立ち姿の存在感とオーラがあって、動きがきれいなの。

これはシェイクピアいけるじゃん、と思ったら
蜷川ハムレットやってたのね。
きっと鍛えられたのだと思うわ。
ブラッケンムーア観てないのが悔やまれる。

お話自体も原作読んだことありませんが、
とてもつらかった。
口うるさく過干渉な母親アマンダ、
脚が悪くて極度に内向的な姉ローラ、
嫌々単調な倉庫の仕事をする主人公トム、
かつて人気者だった同僚ジムも今はパッとしない。

いちいち指図する母親にローラは服従、
トムは嫌気がさしている。
出て行った父親のように自分も出て行きたい。
でも姉を置いてはいけない。

麻実れいさんのアマンダは本当にうるさくてめんどくさい、
観客はみんな子供に同情するよね、
トムが今の仕事嫌がってることわかってるのに、
辞められると食べていけないので続けさせている。
ローラも無理やりビジネススクールに通わせ、
結果無理で、ローラは学校に行けてない。
これは嫁にやるしかないと、
トムに、相手になりそうな人を家に連れてくるように言う。

トムが連れてきたのは、高校時代にローラが憧れていた
人気者のジム。
このジムが意外にいいやつで、超人見知りのローラの心を開き、
この先うまくいくかに見えた。
が、ジムは正直に婚約者がいることを伝え、
ローラはかえって傷つくことになる。

でもね、誰も悪い人はいないのよ。
アマンダは娘の将来が不安で、せっせと勧誘電話の仕事するし、
ローラは根から優しい性格、
トムは母にひどい言葉を浴びせてもすぐ反省するし姉思い、
ジムは頑ななローラを変える。

でも、とにかく終始閉塞感。
誰も救われなかった。
陰鬱な中で、sasaも含めて観客は
自分に照らし合わせていたんだと思う。

家族円満で、家族全員に問題なくて
仕事もうまくいってて
経済的に不安はなくて、
夢は叶って…なんて人はほとんどいないと思う。
誰でも自分に思い当たることがあるから
ずっと続けられてきた戯曲なのだと思う。

あんな王子様みたいな岡田将生くんが冴えない青年で
あんなに美人な倉科カナちゃんが内向的で嫁に行けず
地味な堅山さんが高校時代のスター
って見た目的にちょっと無理があった。
ガラスの動物たちも、あんなにぼってりしてなくて
もう少し繊細で儚げであってほしかったけど、
見終わった感想としては、思わぬ大逆転、
めでたい2022年初観劇でした。