Author Archives: Sasa

ミュージカル『ベートーヴェン』


■日時:2024年1月5日(金)12:00
■会場:福岡サンパレス ホテル&ホール 6列サイド
■出演:
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(孤高の音楽家):井上芳雄
アントニー・ブレンターノ(ベートーヴェンの想い人“トニ”):花總まり
カスパール・ヴァン・ベートーヴェン(ベートーヴェンの弟):小野田龍之介
ベッティーナ・ブレンターノ(“トニ”の義理の妹):木下晴香
バプティスト・フィッツオーク(野心家の弁護士):渡辺大輔
ヨハンナ・ベートーヴェン(カスパールの妻):実咲凜音
フェルディナント・キンスキー公(ベートーヴェンのパトロンの一人):吉野圭吾
フランツ・ブレンターノ(銀行家であり“トニ”の夫): 坂元健児
家塚敦子、中山 昇、中西勝之
岡崎大樹、鈴木凌平、福永悠二
樺島麻美、松島 蘭、横山博子
荒木啓佑、川島大典、後藤晋彦、田中秀哉
俵 和也、村井成仁、横沢健司
彩橋みゆ、池谷祐子、石原絵理、大月さゆ
島田 彩、原 広実、樋口 綾、吉田萌美
ショルシュ:西田理人
マクセ:井澤美遥

ハズレなしのクンツェ&リーヴァイ作品。
全編ベートーヴェンの楽曲ってどいうこと?
と思ってたのです。
さすがはプロ、それっぽくなるもんですね。
ミュージカルの曲のようになるもんだ。
平原綾香さんが最初にジュピターを歌詞入りで歌った時
違和感感じたけど、今や名曲ですもんね。

曲にあわせて歌が上下するので、歌うのは難しそう。
でも歌うまさん揃いなのでみなさんピシャリぶれずにこなしてます。
ただ、王子の声量がかつてない大きさ。
花總さんにしても
エリザの時強い意志を歌いあげる時は結構強めだったけど、
今回はそれ以上。
みなさん強めでいきましょう、って指示が出てるのかな。
二人ともシングルキャストなのに、
あの声だと心配。

最初と後半に歌うオペラ歌手の方、中西勝之さん?
は響き渡る声で声量が大きくてもとてもクリア
坂健さんもやっぱり上手だなあ、なのですが、
他の方ももちろんみなさん上手とは思いつつ
もう少しおさえてもらってもよかったかな。

あと、ダンサー好きなのに、このダンスシーンはちょっと…
振りも衣装もなんか変。
トートダンサーとかヴァンパイアダンサーとかのイメージだろうけど
周りで動めいているだけで素敵じゃなかった。
せっかくならしっかり踊るシーンを入れて輝かせてほしかった。
トートダンサーもいたのにね。

どうしても気になる横沢さん。
アンサンブルさんの中でも必ずセンターにいるし、
ここぞというパートは横沢さんでしたね。
横沢さんって観てるだけでほっこりします。

好きに言わせてもらえば、
ベートーヴェンの曲ありきで
それに歌詞をのせるのが今回の主軸なので
ベートーヴェンの曲自体はもちろん素晴らしいのですが、
ストーリーに合わせたりそれぞれの思いを表現するためには
やはりそれに合わせたオリジナルの曲の方が
伝わったし感動できたのではないかなと思う。
その合間にベートーヴェンを挟み込む
ではダメだったのかな。

と文句ばかり書いているようですが、
総じて面白かったです。
ベートーヴェンの曲は全てではなくても知っている曲が多くて
お話も展開が早いのでずっと楽しめました。
トニが子どもたちと離れられないことをよくわかっているベートーヴェンが
やっと巡り合えた愛するトニを諦めるシーン、
ここ、泣けたし、ベートーヴェンの楽曲がとてもあってた。
王子は指揮の手元も美しかった。
ポーズも決まってた。

カテコは構成が決まっていて、
地元なのにトークは短めにささっと終わりました。
東京公演ではピアノが上から吊ってあったそうですが、
福岡公演ではありませんでした。

2024年の観劇初めは王子でスタートです。

子どもたちの帰省

おわかりと思いますが、
全くブログ更新が追い付いておらず
特にレビューがあるとそれなりに書くのに時間がかかり、
また、休みの日は貴重なので
ストレス発散にでかけてしまうという性格のため
書きたいことはいっぱいあるのに書けておりません。

誰も待ってないかもしれないけど、
あとあと見返すと自分の大事な記録になっているので
できるだけその時の経験や思いは残しておきたい
と思っております。

地味ではありますが子どもたちの帰省については
親しては何時に帰ってくるか
その後外出するかによって
ご飯の準備があるわけです。

お布団干したりカバーつけたり
パジャマや歯ブラシなどいそいそ準備。

ドリンクやお箸、グラス、お菓子もいつもより美味しいもの。

なんてことには全くおかまいなく、
子どもたちは事前の情報も入れずに
適当な時間に帰ってきて、スケジュールも勝手に変更する。
用意した食事もお菓子も全く消費できないまま
あっという間に消えていく。

今年は次男が1/2早朝に戻っていき、
1/2夕方長男が帰ってきて
図ったようなすれ違い。
4人で食卓を囲むこともありませんでした。

帰ってくるまではウキウキしてるのに
帰ってた後は虚しさだけが残る。

新年早々ブツブツ言わずに
帰ってきただけ良しとしましょう。

新年

あけましておめでとうございます
ご挨拶するつもりでおりましたら、
大変な元旦となっています。
福岡市も日本海側ですので津波注意地域となり、
津波到着時間を前に緊張していましたが、
なんとか過ぎました。

朝の時点ではなにもなかったものですから
お節とお雑煮を食べ

初詣。

地震発生が特に寒い地域ですので、避難状況も心配です。

2023エンタメ回想

みなさまいかがお過ごしですか?
今年は年末が少し暖かく、お掃除やおせち準備も震えずに済みました。
次男だけ帰省中。
穏やかな年の瀬です。

恒例となりましたエンタメ振り返り。
今年のラインナップは下記の通りです。

■ミュージカル・お芝居
1月12、26、30日博多座『エリザベート』3回
1月24日 第43回 新春爆笑寄席
3月15日 ミュージカル『RENT』
3月15日 ナイロン100℃ 48th SESSION「Don’t freak out』
3月16日 ミュージカル『ジキル&ハイド』
3月16日 ミュージカル『ジェーン・エア』
3月17日 舞台『アンナ・カレーニナ』
6月24日 ミュージカル『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』
7月11日 音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』
7月11、12日 帝劇『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』2回
7月12日 舞台『ハリーポッターと呪いの子』
8月22日 NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』
9月8日 万能グローブガラパゴスダイナモス 第31回公演『ひとんちで騒ぐな』
9月24日 PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『桜の園』
9月配信 〈新国デジタルシアター〉演劇公演『骨と十字架』
10月8日 ミュージカル『RAGTIME』
10月11日 ミュージカル『スリル・ミー』
10月14日 ヨーロッパ企画『切り裂かないけど攫いはするジャック』
10月22日 ケムリ研究室no.3『眠くなっちゃった』
11月16日 舞台『尺には尺を』
11月16日 舞台『終わりよければすべてよし』
11月17日 舞台『ねじまき鳥クロニクル』
11月17日 阿佐ヶ谷スパイダース『ジャイアンツ』
11月18日 『無駄な抵抗』
11月21日 博多座『西遊記』
28件

■その他、音楽や美術館など
1月6日 プラネタリウム『QUEEN -HEAVEN-』
2月2日 『野見山暁治展』@福岡県立美術館
3月20日 加耒徹 バリトン B→Cバッハからコンテンポラリーへ
4月23日「ひとりトモフワンマン」@紫明会館 Vol.7
5月26日『野見山暁治の見た100年』 野見山暁二
8月12日 『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』
10月8日 TOMOVSKY@きばらしナイト
10月18日 藤田真央 ピアノ・リサイタル
10月31日 ポップサーカス北九州公演
11月17日 ゴッホと静物画―伝統から革新へ
11月24日 「岡本太郎の写真」@九州芸文館
11月24日 田崎廣助美術館
計12件

さて、今年の観劇No.1は

〈新国デジタルシアター〉演劇公演『骨と十字架』

とさせていただきます。

王子の4作品
圧巻のトート閣下から
泣けたジェーン・エア
超話題のムーラン
地味だけど心に響いたRAGTIME
ミュージカル『ジェーン・エア』
どれも素晴らしかったのですが、

それでもこの作品のすさまじさ。

「どうしても譲れないものに直面したとき、
信じるものを否定されたとき、
人はどうなっていくのか、どう振舞うのか」
というテーマがまっすぐに伝わり、
もどかしかったし、考えさせられました。
5人の男たちの会話だけであれだけ惹きつける
役者さんの力量に感動。

それも配信だったのに、伝える力に脱帽でした。

今年を思い返してどうしても一番心に刺さる作品だったので、
昨日急いでレビューを入れました。

今年の観劇収めは「西遊記」と残念だったけど
2024年観劇初めは「ベートーヴェン」でございます。
賛否分かれる作品のようですが楽しみに。

みなさまよいお年を。

新国立劇場『骨と十字架』無料配信


■作:野木萌葱
■演出:小川絵梨子
■出演:神農直隆 小林 隆 伊達 暁 佐藤祐基 近藤芳正

9月の1か月間、無料配信でした。
よくこんなお宝作品を配信してくれたものです。
新国立劇場様ありがとう。
すごい作品でした。

■Story
ローマ、敬虔な司祭テイヤール(神農直隆)は
神に身を捧げる一方、古生物学者として人類の進化を研究。
バチカンの司教レジナルド(近藤芳正)がそれを知り、
上司である総長(小林隆)にテイヤールの処分を命じる。
総長はなんとか穏便に済ませるために、
同じく研究者で司祭のリサン(伊達暁)のいる北京に左遷させる。
北京では研究への邪魔は入らないが公の発表もできないという
飼い殺し状態。
それでも情熱をもって研究を進めるうちに
テイヤールは北京原人の骨をという大発見をする。
実在の人物のお話です。

人はアダムとイブから生まれたと言っているのだから
猿から進化だなんて不遜。
テイヤールは、神にも研究にも忠実、
相反するけれどもどちらも尊い、
どちらかを選ぶことはできない。
その矛盾にどう立ち向かうのか。

聖職者のお話なので、ずっと黒い衣装で
しずしずと動く静謐な世界です。
表には出ないけれどテイヤールの神と研究に対する情熱は熱く、
でもそれを抑えているから
その禁欲的な立ち振る舞いがたまらなくゾクゾクするのです。
衣装も素敵だし、一体この神農さんって何者?初見だよね、
と思っていたら、
カエルちゃんに「sasaさん『1984』で観てますよ」
と指摘され、ササメモ見返すと確かに拝見してました。
大杉漣さんの急遽代役になった方です。
信頼される役者さんなんだ、納得!

自分を遥かに超える研究への情熱に嫉妬するリサン、
これ以上の進化論は聖職者の座を追われると密告する弟弟子アンリ(佐藤祐基)、
総長は保身優先ながら、大発見のテイヤールをうまく利用したい総長、
神への冒涜をなんとしても許さない司教、
5人の聖職者の濃密な会話劇です。

周りが右往左往してても、
テイヤールはどちらもあきらめることなく
自分の信じる道を進む。

最後に「どこへ?」と聞かれて
「神のもとへ、私の神のもとへ」で終わる。

「私の」

神と進化論は教会としては相反するというかもしれないが、
「私の神」にとってはどちらも正しいはず。

衝撃の作品でした。
パラドックス定数野木萌葱さん、目が離せないな。